第115話 ドッキリ仕掛けるか

-side ラインハルト-




「冒険、俺もついていくよ。」

「本当!?やったあ!!」



 なんだかんだで、朝っぱらから父上に惨殺された後、俺は冒険に行くことをルイに伝えることにした。

 既に今から緊張してドキドキだ。



「ふふっ……、ラインハルト。君は冒険を怖がってるけど、今回いくのはそこまでの怖さじゃないよ。僕が研究用に素材を集めたいと思ったから、それを取りに行きたいんだ」

「あっ、そーなんだ」

「ここなんだけどね。豊かな土地で結構のどかな場所だよ」

「へー」

「もちろん、完全に安全な場所とは言えないけれどね」

「それは、うん、そうだね」

「まあ、その前に冒険者登録してからこの地域に行けるようになるまで、ランクも上げなければならないけれどね。」

「oh……」



 デスヨネー……。

 これから、冒険者になって色々訓練をして、ある程度戦えるようになったら行けるという感じか。流石に今の実力では実践経験が足りなすぎて、安全に冒険できないし当然と言えば当然か。

 冒険者ギルドも大きい組織だから、闇雲に人を冒険に送り出しているわけではなくしっかりとした教育体制があるみたいだし。

 結構長期戦だなこりゃ。



「強くなる経験は若いうちからした方がいいって言うのは、うちの父親も言っていたことだからさ。あたしも研究者ではあるけど、強くなりたいんだ」



 そういったルイの表情は非常に眩しいし、かっこいい。



「ラインハルト、恋する乙女の顔してるな」

「イケメン冒険者送り出しそうな乙女の顔ですねえ」

「ち、ちげえよ」



 ま、守りたい、この笑顔っていう顔をしているはずだ。



「俺も……、俺も強くなりたい」

「うん、一緒に強くなろうね、ラインハルト」

「うん、頑張る」



 俺だってやればできるはずだ。

 そのためにできる限り努力はしよう。



「やっぱりリードされる側なんですねえ」

「どーやってもあの性格は変わらないものなのかねえ」



 うるさいやい。



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



–side 精霊たち−




 その様子を上空から見ていた精霊達はお菓子を食べながら、いつものようにお気楽に会話していた。



「はあーーやっぱり持つべきものは、リードしてくれる愛しの恋人よねえ」

「うんうん」

「お前ら……、なんだかんだでたまに乙女なところあるよな……」

「たまにって何よ!?いつもだわ」

「ラトリアは乙女っていうより修羅に近い……」

「ふんっ!!!!!」



 --ドッカーーーン!!

 ラトリアがルーカスを思いっきり殴る。



「学習力皆無」

「ふんっ!」

「イテテテ……、そーいうところだぞ、そーいうとこ」

「今のはあなたが悪いわよ」

「テテテ……、ほんとイッテェ……。それにしても、そろそろラインハルトの全体的な性格は矯正しといた方がいいと思うぜ……」

「あー、それは思ってた。今はまだいいけれど、大人になってからもアレじゃあ、主人として心配だわ」

「それなら、あの場所はどう?ちょうど冒険する場所の近く」

「あの場所か!」

「良いわねー、ちょうどラインハルトも気になってたみたいだし、ついでに試練ドッキリ仕掛けましょうよ!」

「いいなそれ!!」



 いたずら好きの精霊たちは今日も愉快に新しいドッキリを考えるのだった。



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