第24話「最後に爆弾」
長々と続く自己紹介だが、変な奴が多くて、心の中でツッコミを入れまくっていたので、僕は退屈することはなかった。
何より、緑井の自己紹介が終わるのを、僕はずっと楽しみにしていた。
『緑井』の次は『源』のはず。
さあ、足利、徳川、北条に続く源さんとはいったいどんな人物なのか!?
ワクワクがとまらないぞ!!
きっと、源さんもものすごい個性の
「はい、次は
「
いや、源おらんのかーい!!
足利、徳川、北条がいて源はおらんのかーい!!
僕のツッコミは、僕の心の中でだけ虚しく響き渡った。
武藤さんは、残念ながら無個性なモブJKのひとりで、その自己紹介に特筆したくなるようなことは何もなかった。
その後もモブJKたちの無難な自己紹介が続いて、さすがに僕の気持ちもだれてきた。
そんな自己紹介も、ついに迎える終わりの時。
「はい、最後は
夕暮さん? また変な名字……
教壇の前に立った夕暮さんは高めのツインテールをした女の子だった。
正直、かわいかった。
「夕暮かえで」
夕暮かえで……風流な名前のコだな。
「好きなものはちん……(自主規制)」
えっ?
「ああ、かえでの股間にち……(自主規制)が生えていれば、いろいろな人のいろいろな穴を気持ちよくさせてあげることができるというのに、なぜかえでの股間にはち……(自主規制)が生えていないのか?」
な……
「おい、そこのお前。お前のち……(自主規制)をかえでに譲ってくれ。モテなさそうなお前よりも、私の方がよっぽど上手にそのち……(自主規制)を使ってみせるぞ、ほら、よこせ、よこせ」
なんだコイツー!!!!!!!!
「はーい、どうもありがとうございました!! 以上の30人、みんな仲良くしていきましょうね!!」
夕暮さんが、僕に襲いかからんばかりの勢いで迫ってきたので、僕はあわてて逃げようとしたが、上杉先生が夕暮さんを羽交い締めにしてくれたので、事なきを得た。
「先生離して……私はアイツに用事がある……」
「離せるわけないでしょう! さっさと自分の席に戻りなさい!!」
上杉先生は夕暮さんを自席に強制送還していた。
「そんなひどい……」
「ひどいのはあなたの自己紹介の方よ! 15年ぐらい教師やってるけど、あんなひどい自己紹介初めて聞いたわ!!」
え? 15年ぐらい?
じゃあ上杉先生ってアラフォーなの?
全然そうは見えないんですけど……20代後半ぐらいだと思ってた。
「そんな、誉めすぎだよ、先生。照れる」
「誰も誉めてないわ! 私の教師生活で最低最悪の自己紹介だよ!!」
「ありがとう先生、かえで嬉しい」
「だから誉めてない!!」
「やっぱ、かえで最高! マジウケるー!!」
「ありがとう
「かえでー! 将来逮捕された時はうちが身元引受人になってやっかんなー!」
「ありがとう
「逮捕されるようなことしないでください!」
なんてこったい……
自己紹介の最後に、とんでもない爆弾がひそんでいた。
やっぱ、このクラス、ヤバすぎだ。
僕は到底生き残れる気がしなかった。
でも生き残らなければならない。
僕の目の前の席に座っている、葵アズミのためにも。
アイ・ウィル・サバイブ!!(僕は生き残るだろう!!)
何があろうとカースト最下位にだけは絶対ならないぞ!!
ああ、それにしても、アズミのすぐ後ろの席ってのは最高だな、ジロジロ見ても何も文句言われないからな、アズミの背中に目がついているわけないし、サラブレッドみたいに視野が350度あるわけもないし、これからいくらでも見放題だぜ、アズミの背中。
ああ、夏になったら薄着になって、アズミのFカップのブラが透けて見えたりすんのかな、楽しみだなー、デュフフ、デュフフ、デュフフフ……
「はい、それじゃあ今日の最後に、いきなりですが席替えをしたいと思います!」
なんでだよぉぉぉぉぉぉぁぉぉぉぉぉっ!!
上杉せんせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぃっ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます