使ってはいけない③

「昔うちで働いてた女の子がさ、あのシートで自殺未遂騒ぎを起こしたことがあってね。まあまだその頃は店名とか色々違ったんだけどさ」


店長の話によると、その女の子は大事には至らなかったそうだが、

「お腹にさ、客との子供がいたっぽいんだよ」

その自殺未遂がきっかけなのかはわからないが、お腹の子は流れてしまったらしい。

「それからさ、あのシートを使うと妙なことが起こるようになった。元気だった客が急に意識を失ったり、女の子が発狂したり。そのうち、あのシートは使いたくないって子が増えて、今の状態に至るってわけよ」

店長は何度も祈祷師などを呼んでお祓いを頼んだが、全て無駄だったらしい。

「多分あれは今後もあそこに居続けると思うよ。この店が無くなったとしてもね」


その後、俺はその店を辞めた。

今は店も無くなり、残ったビルも中国の会社が買い取ったらしく普通のオフィスになっている。

それでもきっとまだ、あそこにはあの子供がいるのだろう。



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