ー3王子


ジャバーン!


私は、水飛沫を上げた。

あれだけの落下している感覚は滝から落ちるくらいだろう。

いや、この濡れ具合は、プールでウォータースライダーだ。


「ゴホッゴホッ」と飲んでしまった水に(綺麗な水だと良いんだけど)と、ぼんやり思う。

状況を把握しようと顔を上げる。私の太ももまである水。足はついている。

温い水、髪から足までグッショリ。暖かな陽気に、明るい森の湖。

その岸には、


目の前の1、2、3?人。


「誰だテメェ?」男が喧嘩腰のセリフを吐いた。


1人目は、

ヤンキーを大人にしたようなチャラさと、体を鍛えています的な

日に焼けた小麦色の肌。眼光が鋭く、目力強くて恐い!!


「兄さん、落ち着いてくださいよ。」と嗜める美人さん、男の人の声。

2人目。姿はバッチリ美女でイケる。ドレスを着て着飾る姿も素敵だろうと思うが、

ローブを羽織る“ザ・魔法使い”は海外のファンタジー感あるわ。


義理のお兄さん?って言いたいほどキャラが違う2人。


「…風邪ひいてちゃうよ」ヤンキー兄ちゃんの後ろから出てきた、まだ成長前の高い声。

髪が見えていた、3人目だ。これは、イケメンになるね。可愛いね!な男の子だ。


その子に意識を向けた2人が調子よく私に、言った。

「斬ってみるか?」

「魔法にしましょうよ」


冗談とも本気ともとれる兄弟(見た目は似てない)のやり取りに私は、固まる。


「兄さん達!」と男の子が庇ってくれる。良い子やあ。


「わかってる」

「わかってますよ」


訂正。似てるわ!兄弟だわ。


この3人に私は、保護されるようだ。

というか

何がわかっているんだろう?こちらはさっぱりだ。

ちょうど、区切りが良いので


「ここは何処でしょうか?」

首を傾げ、丁寧な口調で彼らに聞いてみた。


パチリと瞬きの瞬間があり


「ヲイ」

こっわ!アップになった恐い兄ちゃん。兄貴ぃ!の呼び方が良いだろうか。


(目の前は恐っ!)と思うが、少年(可愛い弟)に服の裾を持って止められていると

番犬みたいですね〜。


ほっこり感じつつ、堂々と胸をはる。

(なんですか?こっちは水浸しなんですけど?)


居直った感があるが、私は心の余裕があった。


今気づいたが、

少年をお兄ちゃん達は守っていたポジショニングだ。


仲良い関係ですね。3兄弟?

3人だけとは限らない。


だって、ここ日本?

冷静に確信していた。日本語通じてるけど、日本じゃなーい!!



恐い顔兄貴に手を貸してもらって、私は湖を出られた。



“知らない人についていってはいけない”


は、知らないところに来たら意味をなさないと思う。

そして濡れ鼠といえる格好だったら尚更。



まだ寒く、桜がちらほら咲いている頃だった。


婚活パーティなるものに参加し、立食パーティーの

食事をしながら思考する。


婚活にしっくりこないものを感じつつ

期限切れ、行き遅れという言葉が刺さる今日この頃。


希望は、専業主婦。

生家のように、落ち着いた温かい家庭を望んでいる。


それは、“地味な願望“で

男を釣る常套句らしい。そんなの知るか。


私は平穏に暮らしたいんだ。


料理、本、散歩


「つまらなそう」なんて言われる生活も

季節の移り変わりを愛で、心穏やかに暮らしたい。


それが私の望み



『叶えてあげる!』は幻聴だと思ってた。


オシャレなドレス姿で、びしょ濡れになるまで。

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