第五話
「ああ、物的証拠になる。それにかつては殺害死体等に
だが、その
千九百九十一年、『科捜研OBの益子先生』は
つまり、四酸化ルテニウムは
人体の皮膚はもちろん、普通紙、
しかも
私は話を、まとめた。
「ご
永山は答えた。
「まあな。あとは自白が得られればいうことはない。自白は『証拠の王様』だからな。
それにしてもこの事件に、えらく
「まあな……、ありがとう。さ、どんどん寿司を食ってくれ」
「じゃあ、遠慮なく。大将、ウニとウナギとアナゴね」
「へい」
私はちょっと財布の中身が心配になって、
「本当に
それから私は、この事件を
更に、この事件を扱っている新聞、週刊誌も買いあさった。最初は
私が、それでもニュース番組をチェックをしていると、井口君がやってきた。
「市村先生、長編推理小説の方は、どうなっていますか?」
「ああ、三十パーセントくらい出来たよ」
井口君はリビングのテーブルに山積みにされた週刊誌を見て、聞いてきた。
「三十パーセントですか……、まあまあですね……。
あれ、市村先生が週刊誌を読むなんて
「ああ、ちょっと、あの事件に興味があってね」
井口君は少し考えてから、言った。
「ふーん、そうですか……。でもマスコミでも色々言われていますけど、女子高生にも問題があると思うんですよねえ……」
「どういうことだい?」
「何があったか知りませんけど、あんな夜中に
この八月の暑さでムラムラしている男が、いたずら心を持つことを知らなければいけないと思うんですよねえ……」
私は
「どうして被害者が、ジェリス女子高校の生徒だと分かったんだ?!」
井口君は私の意気込みに少し、うろたえながらも答えた。
「え? あ、週刊誌の記事で読んだんですよ。どの週刊誌かは、忘れましたが」
「あ、そうか……!」
「それより長編推理小説の件ですが……」と井口君が言いかけた時、私のスマホが鳴った。永山と表示されていた。
「ちょっと失礼」と言って私は電話に出た。
『もしもし、市村ですが』
『俺だ。今、ちょっといいか?』
『ああ、何だ?』
『警視庁の知り合いから聞いたんだが、例の女子高生の事件で今、
私は意気込んで聞いた。
『何?! 詳しく教えてくれ!』
『何でも取り調べを受けているのは、女子高生と交際していた男子高校生、
『なるほど……』
『お前、この事件にえらく関心があったから一応、知らせておこうと思ってな』
私は、礼を言いながらも聞いた。
『そうか、ありがとう。で、状況はどうなんだ?』
『ああ、西城龍一は被害者と、もめていたことは認めているんだが、
それに任意の取り調べだから、DNA型鑑定と指紋の照合、どちらも拒否しているそうだ』
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