14 勇者との出会い

 今日から本格的に学院生活が始まる。



〜〜〜〜〜



「ようこそ、新入生。エクランド学院へ。Sクラスの担任のシュワール・クライエルであります。これから3年間よろしくお願いします。」


 クライエル。確か二等貴族だったはず。この家は全てこの学院に使えてきたのだったかな。

 そういえば、勇者らしい人がいないな。


「皆も気になっているのだろうがこれから勇者をお呼びする。」


「では、自己紹介を。」


「ピリポです。よろしくお願いします。」


「「「勇者様、どうぞ私を仲間に入れてください。」」」


 うわー。勇者が驚いてるじゃん。節度を考えろよ。どうせ親に仲間になってこいって言われたからなんだろうけど。


「ゴホン。では、勇者殿はあちらの席へお座りください。」


「わかりました。」


 わかりました。じゃねえよ。いや、なぜか隣が空いてたから気になってはいたけどね。なんで俺の隣なの。やっぱ1等貴族だからなのかそうなのか。


「よろしくお願いしますね。」


「こちらこそよろしくお願いします。」


「では新入生のためにSクラスが主にどのようなことをするのかを説明する。」


 簡潔に言うと他のクラスは基本、教師からの指導がメインだがSクラスでは生徒同士で教え合う。それでも分からない、上手くいかないことがあれば聞いてください。って言う感じだった。まあ、当然だろうな。


「私はこれで。」


 え。もう終わりなの。巻き込まれたく無いな。逃げよ。


「もう、行ってしまうのですか?」


「ええ。面倒事に巻き込まれたくはないので。」


 見られているような気もするが、さっさと逃げよう。魔法の特訓もしたいし。



〜〜〜〜〜



 ここが魔法訓練場だよな。最近は魔力のコントロールの訓練をしている。前は〈火球〉圧縮威力2倍を使ったがこれには普通の〈火球〉の12倍の魔力が必要で安定させることは難しい。普通なら魔力を無駄にしてしまう。


 ここは共用の場なので魔法を使って壊すことはしたくない。だから、なるべく魔法の解除や空に飛ばすようにする。



〜〜〜〜〜



「あのー、何をしてらっしゃるのでしょうか。」


「えっ。勇者さん。いつの間にいらっしゃっていたのですね。」


「ええ。あと、勇者って呼んでくださるのをやめていただきたいのですが。」


「では、なんとお呼びすれば。」


「ピリポでお願いします。」


「では、ピリポさん、そういえば自己紹介をしていませんでしたね。私はロベル・クライエットと申します。一等貴族です。」


「あなたがロベルさんね。城であなたのことは聞いていましたわ。同じ年なのに魔法が非常にお得意ですね。」


「まあ、4歳の時から魔法を使い始めましたからね。」


「あの。私に魔法を強くなる方法を教えてください。」

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