ニャーと鳴けなかったキミへ

辰巳蓮

第1話

その日

娘から連絡があった


娘婿が野良猫を2匹

連れて帰ってきたと

仔猫の側に

母猫が亡くなっていたから

このまま

ここに置いて行けば

必ずこの小さな命は

消えてしまうだろうと


だが

娘たちの住む部屋は

ペット不可の物件

そこで

私に

話が持ち込まれたのだ


だが

私は昔飼っていた猫が

老衰で亡くなってから

生き物を飼うのは

諦めていたのだ

別れが辛すぎて

また

そのような思いをしたくなくって


しかし

娘の方が上手だった


まだ小さく

歩くのも

ポテポテ歩く

可愛い生き物を

小さな命が

私の側にやってきて

私の膝の上に乗り

もう一匹は

私の体の横にくっつき

眠りだしたのだ


私の負けだ

私は

2匹をそのまま

我が家にむかえたのだ

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