地味子な私の七変化

烏川 ハル

前編

   

「それでは、今日の授業はここまでとします」

 腕時計に視線を落としながら、教壇に立つ先生が宣言する。

 早速ガヤガヤと騒ぎ出し、帰り支度を始めるクラスメートたち。

 そんな喧騒に埋もれることなく、終業のベルは、私の耳にもハッキリと聞こえてきた。


「さあ、帰ろう! 今日は疲れたよ……」

「あら、『今日は』じゃなくて『今日も』でしょ?」

「お腹ペコペコで、家までちそうにないわ」

「駅前のお店、寄ってく?」

 仲良さそうにワイワイ帰る者もいれば、一人で静かに教室から消える者もいる。

 もちろん私は、後者の部類だ。

 ちらりと窓ガラスに目をやれば、映っているのは、もっさりした三つ編みに、大きめな丸メガネ。野暮ったい風体ふうていの、地味な女子生徒。

 いつもの私の姿だった。

 しかし……。

   

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