第1話(2)・現実は受け止めなきゃ
会場の建物は、貝殻の様な扇形の建物で真っ白な外装で、扇形に広がる殻長の部分には敷き詰められたガラス窓と、一階部分には自動ドアの入り口がある。
私達は、会場敷地に入るとHPCと呼ばれる首から提げてるネックレス型の量子コンピュータを念じる事で操作して、物質データ化ソフトを起動するとスカイシューズデータ化と念じてHPCにしまった。
私達が、会場内に入ると、外の熱気とは正反対に、全身を一気に冷やす様な涼しい。
その涼しさを打ち消す様な熱気で、首からSTAFFと書かれた札を下げたスタッフが慌ただしく駆け巡る。
「唯、懐かしいね。」
「小学生の時出た。関東大会か?」
「そう。結局全国大会に行けなかったけど」
私達は、控え室の方に向かう為黒い文字で関係者以外立ち入り禁止と書いてある黄色いホログラムの看板が表示してある扉を開けた。
真っ白い廊下がひたすら続き左右に白い扉がある。
それぞれの、試験に参加するチーム名がホログラムで表示されてある。
「あれは、完全に嵌められたって事よね。38人が一時的に協力して美樹ちゃんと唯ちゃんを一斉に攻撃したもんね。」
姫咲ちゃんは、いつもの優しい口調ながらその言葉は冷気を感じさせる程。
「突破口はあったの。地形を利用し、戦力を分散。いくらでも方法はあった。でも、あの時私も唯もパニックになって、頭が真っ白になって、何も出来ないままHPがゼロになった。受け止めなきゃ。自分の未熟さを・」
私がそう言うと唯は、小声で放った。
「そうだなぁ。でも、悔しくてなかなか素直に受け止められねぇよ。」
男性の話し声が聞こえてきて私は男性のスタッフとすれ違った。
それは、私達が会話をしてる時。
「あのチーム3人かよ。やる気あるのかよ。」
「しかも、一番乗りだぜダサっ」
「ポニーテールの子胸無ぇ!」
すれ違いざま笑い声と共に聞こえてきて、私は思わず立ち止まった。
後ろを振り返ると、男性が満面の笑顔で返してきた。
「どうした?困った事あったらいつでもスタッフに相談してね!」
すれ違ったスタッフの内1人に言われ、私は、その笑顔に、全身を恐怖で舐め回された様な気がして、震えながら小さく頷いた。彼等は一瞬冷たい表情になると、また笑いながら談笑して歩いて行った。
「美樹、大丈夫か?」
唯の心配してくれた優しい言葉に自然と涙が溢れてきた。
私は、仲間の優しさに恐怖から開放され安堵した。
「低俗ね。」
姫咲ちゃんは、1度彼等を睨むと私の頭を優しく撫でてくれた。
「言ってきてやろうか!美樹の胸はCもあるんだぞって!!」
唯は優しく微笑んでで私の背中を叩いた。
「唯?恥ずかしいから止めてね!」
「だよな!美樹には、私達がいるんだから大丈夫!!」
唯は、154CMで161CMの私より小さいながらも背伸びして私の頭を撫でてくれた。
「それにしても日本プロゲーミング協会の試験なのに、低俗なスタッフがいるのね」
姫咲ちゃんの小声のため息混じりの言葉が、フェードアウトしていく。
「本当にごめんなさいね。彼等には、厳重注意しとくから。」
小学生の時、関東大会で心配してくれた、聞き覚えのある女性スタッフの声。
私は、その声の方を向くと、申し訳なさそうにしてる、スーツを着た髪を頭の後ろで1つ結びしてる松永彩乃さんいた。
「松永さん。お久しぶりです。」
私がお辞儀をすると、唯も姫咲ちゃんもお辞儀をした。
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