第14話 茉穂、居酒屋で一杯




9月に入って蝉の甲高い

鳴き声の代わりにどこそこで

見えるのは蝉の死骸、あー夏も終わりかー!


少し空も高く見えて

鱗雲が見える

モコモコしたソフトクリーム雲は

姿を消して茉穂も転職を

考え始めた今日この頃

あれから泰真は、音沙汰も無く

寂しいような平和なような微妙




「何をしょうかなぁ

やりたいこと・・なんだろ?

やりたい事

やりたい事?」



今まで仕事に一生懸命でやりたい事

なんて考えた事無かったし・・


泰真を見た時恋が爆発して泰真を物にするのが夢で必死だった。


絶対泰真と結婚して彼に似たカッコイイ男子三人産んで彼に似た娘二人産んでの中に私が紛れても分からない可愛い母親になる。



そう幼稚園児が言うような将来の夢は泰真のお嫁さんだったはず・・


しかし奴は思っていた人物じゃあ無かった。



「んーモヤモヤする。」

こんな時は由梨を誘うか!!



「由梨、金曜日じゃん

居酒屋で1杯どう?」


「OKOKじゃあ、後で連絡する。」

由梨からは直ぐ返信来た❗

彼氏居ない同士は話がまとまるのが

早い。



🍻ビールとアイスは季節を問わず

美味い。

肴は季節事の旬があって

居酒屋は旬を楽しませてくれる。

2人でたらふく飲んで食って満腹


それから居酒屋を出てバーで

飲み直そうって由梨が言うから

付き合う事にした。


道道で男らに声をかけられる

由梨が飛びっきりの美人だから

仕方ないっちゃ仕方ないか!

目立っよな~w



街中の細い階段を上がると黒猫が2匹寄り添う看板が見える洒落たビルの5階にある時刻はpm21



静かに飲めて、大人雰囲気のお店窓から見える景色は都内の夜景が綺麗に見える由梨お気に入りのお店だ。


ここではビールよりカクテルを

頂く。

茉穂だってちょっと大人の雰囲気に混ざりたい大人ぶりたい。


茉穂がトイレから帰ってる時、茉穂の前を通り過ぎる二人がいた。


由梨もヤッパリ気付いたらしく

茉穂においでおいで風に手を振る。


「見た見た?」

小声で由梨は茉穂に確認する。

「見た!!専務だった!」

茉穂も由梨に小声で答える



由梨は品定めするように

専務と一緒にいる女を見る

「おい、小姑か!」

茉穂は由梨を肘でつつく


「うーん顔はまあ男ウケする

可愛い系ね

まあ合コンから二人で抜けたってとこかなムフフお持ち帰り確定な!」

ニヤニヤしながら、由梨は観察


「凄、由梨そんなのもわかるの?」

ビックルする世間知らずな茉穂に由梨は説明する。


「だってこの時間だし

しかも金曜日、明日会社は休みだよ。

今日楽しまなくて

何曜日たのしむんだ?あ!!」


「へ、へぇー 」


そうなのか金曜日は何時もたらふく食べて寝る人生だった茉穂がフムフムと頷く。


「多分どっかのお嬢様ね

歳は25か6まあ、いいトコ同士の

合コンだね。」


「え?なんでわかる?」

由梨の顔をパッと見て茉穂も聞いてくる。由梨は呆れながらホントに何も知らないんだ、と笑いたくなる。


「だってあれ上から下まで

ブランド品じゃん

見て見ろや」



由梨がそう言うから茉穂もついつい

チラチラ見てしまう。

成程ね有名ブランドを上から下まで着こなして嫌味じゃないってことは

男子達もそれなりの収入を得る

スペックが無いと付き合えないよね。

って事は専務以外もハイスペ揃いの

合コンかー!


茉穂もお嬢様だ、今は自立してるだけ前は、全身ブランド品でも・・・

今は無理かアハハハハ


「まあ、専務も外に出れば

ただの男って事ね。」

由梨は溜息混じりに呟いた。


「ふ、ふーん」

専務も会社出たらただの男か!と由梨は呟く!全くその通り、あのニヤケ顔を見てるとそうだなと思う。


もう好きじゃないと思ってたけど

この胸を突き抜ける寂しさは

なんだろう。

イチャイチャしゃがって、ムカつく!


「ねえ君たち、一緒にのもうよ!」

その声に由梨も茉穂も振り返る。

ヒユウー「二人とも美人だね。」


『2人ともってワタシもって事?』

茉穂はちょっと嬉しがる。





向こうで女の子が誘われてる

声がした。

背の高い今風の韓国男子みたいなイケメン二人が積極的に彼女らに絡み始めた。

泰真も興味津々


右端のもう1人の彼女が


「ここで彼氏と待ち合わせ

してるから」

とツーンとして断っていたが

彼女らの席を挟んで座り込んだのが見えた・・・

もう1人の彼女は嫌そうな顔をしてたのに黙り・・・ん?


「あれ?」

ちょっと嬉しそうな態度を取る彼女が見えた時、泰真はサーっと血が引く感触に苛まれツイ席を立つ。


"茉穂?"

紛れもなく不貞腐れた表情はもう1人の彼女で、茉穂はなんかノリそうな雰囲気・・・笑顔?



俺はいたたまれなくなり

スックと立ち上がり茉穂の

方へ歩いた。


「名前何?可愛いー」

男はチャラそうに見え茉穂の手を

撫でながら茉穂を誘っている。


「ヒッ」

茉穂の息を飲む叫びが聞こえた。


"はぁぁぁああああー"

ムカついた泰真の足が早くなる。


泰真が近づく頃には、彼は益々

茉穂に接近


ムカァ💢

泰真は男の腕を掴み

「俺の彼女に

ベタベタ触らないでくれないか!」


イケメンの涼し気な刺すような

怒りを押し込めた表情を見た

チャラ男はゾクッとした表情を見せ

怯んだ!



ウワッ

「な、なんだ彼氏いるなら

早く言えよ!」

そう言って連れのチャラ男と二人

ソソクサと店を出て行った。



「あ、ありがとうございます

専務」

由梨が頭を下げた。


泰真は心配そうな顔をし・・たのに対して茉穂は仏頂面で


「ありがとうございました。フンッ」

茉穂も白々しく頭を下げた。


泰真は由梨を見て

「ああ、君ウチの会社の人?

俺を知ってるの?」


「は、はい。

超有名ですから」


由梨がそう返事をするが茉穂は

プイッ そっぽ向いている。


「あのぉ専務、お連れさんが

お待ちですよ

すみません、私達の事に巻き

込んでしまって」


由梨は益々気の毒そうにしながら

こっちを見ている彼女に頭をさげた。


「専務お楽しみの所

すみませんでしター

アザース!!」フンッ


「コラ、茉穂失礼だよ!

お連れさん彼女さんですか?

すみませんでした。」

必死カレに謝る由梨だがソッポ向いている茉穂に由梨もヤレヤレな感じ

申し訳なさすぎる!

「彼女、見てますけど!

大丈夫?」

茉穂は嫌味っぽく泰真を見て言った。


「あ、いや、彼女はそのぅ~」


アッチの彼女をみて専務もバッ悪そうに頭をかいていた。


そこに茉穂が畳み掛けるように


「えへへお持ち帰りなんでしょう

あ、ホテル?家には小姑が2匹

いましたよねー確か!ガタイの良い奴

ギャンギャン吠える奴


いやいや今日はお楽しみですよねー

じやあーホテルは高級なトコですかー?でもおー


私は嫌だなぁーホテル

嫌いかなぁ〜お持ち帰りなんか

する奴 !!」


「え!」


「専務はラブホなんて行かず

高級ホテル?」

泰真の顔が引きつったのを見た由梨が席を立ち茉穂の手を掴み


「茉穂酔っ払ったみたいでアハハ

私達帰りますね。彼女さんと

ごゆっくり」

そう言うとウダウダしてる茉穂を

由梨は、引っ張りあげて連れ出した。


「ちょっと茉穂

酔ったの!あんな失礼な事

思ってても、言わないの!

わかった?」


茉穂を外に連れ出した由梨は

コンコンとお説教、茉穂はニタニタ


「もう直ぐ出てくるよアイツ」

と言いながらパン屋さんの灯りの

消えた店舗パンの看板の後ろに

由梨を引っ張り込み隠れた。


由梨は「ち、ちょっと、な、なに?」



「シッ☝」


茉穂は由梨の口に手をあてる。


「何するモゴモゴ」


するとバタバタと泰真は階段を駆け下りて来た。


「ク、ヒョヒョヒョヒョ」

茉穂は口を抑えて意地悪な笑いを

我慢するように笑った!



右左前後

泰真は必死に茉穂を探していた。



看板の後ろでかがみ込んでいた由梨

がコショコショと茉穂の耳元で

呟いた。


「もしかして振られた彼って

専務?」


由梨の髪の毛のいい匂いに包まれ

「由梨なんのシャンプー使ってる?」


「ん?今それ聞くとこ

話そらさずに答えナサイ!」


「まあ・・そ!」


「ヒエッやっぱり!!」

「シッ☝」

茉穂はまたまた由梨の口を抑えた。



「ひどーいぃぃ真知田さん

私と付き合う約束はー」


彼女がしばらくしてアッチ行ったり

コッチ行ったりしてる泰真に

まとわりつき文句を言っていた。


茉穂と由梨の後ろに自販機があり

隙を見て炭酸のジュースを2本

買うと茉穂は由梨に1本を渡し

バックのなかからスルメを出すと

由梨と茉穂は高見の見物と洒落こんだ


「なんでスルメあるのサ」


「こんな時の為だよーフー」

茉穂はニヤニヤしながらスルメ臭い息を吐く


「ウッくっさー」

由梨もフーと息を吐く

くっさークッサー言い合いながら

いい具合に酔っ払っ他二人は

(*≧∀≦*)キャハハキャハハ

楽しそうに泰真の言動を見守る。


パチーンパチーンとスルメを引きちぎる歯音が響いた。


「クククッザマアーくっさー」

と茉穂は上機嫌、スマホには

泰真からの着信がブルブルブルブル

と震えていた。


「アイタタタアイタタタ」

しゃがみこんで腰が痛くなった

二人は見つからないように腰を

抑えながらその場をさった。


まるで婆さんのように腰を

伸ばしかけの、まま歩く


ヨイヨイっとぉ変な掛け声で腰を拳で叩く!!無駄な痛みは見物した罰か!



「ねえアンタ振られたんだよね

なんか、専務が振られたみたいに

見えるんだけどー」



「そう?」


納得出来ない由梨に事の顛末を話してあげたが、納得するもしないも由梨次第、由梨も同じ歳だ分かるけど分からない、結婚そんな気にする!?


付き合ってみたらいいじゃん。

そしたら結婚に流れて行くよ!と由梨は言うがそれは、予想でしかなく付き合えない。

台風だって予想方向には進まない事もある予想は予想だ!

一発カケなんか出来ん!!

こちとら人生かかっている。



スルメとビールか

スルメと焼酎か

どっちが合うか分からない

そんなカケ

さすが酔っ払った奴らの意味の無い疑問さえワカラナイ

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