ブラック社畜の俺、部屋で深夜アニメを見ていたら駄女神に説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と共に元気に最強勇者やってます!
第31話 新必殺技≪ホーリー・ビーム・ピンポイントレーザー≫!
第31話 新必殺技≪ホーリー・ビーム・ピンポイントレーザー≫!
だけど。
「ダメだリュスターナ! 拡散ビームじゃ1発1発の威力が下がるから、こいつみたいな硬い防御の敵は撃ち抜けない!」
「分かっています。ですがここは私を信じてはもらえませんか?」
リュスターナの声はとてつもなく真剣だった。
リュスターナは真面目な性格だから、シリアスなシーンで冗談を言ったりはしない。
つまり何か策があるってことか――!
ならもう迷いはしない!
信じてるぜリュスターナ!
「うおおおおおおぉぉっっ――!!」
俺は猛烈な勢いで力を溜め始めた。
聖剣≪クラウソラス≫に聖なる力が怒涛のように蓄積していく。
『ガハハ! 無駄無駄無駄ァッ!! 何をしようとも我が鉄壁の防御は破れはせんわ!』
「ふっ、それはこいつを喰らった後にまだ生きていられたら言うんだな!」
『ほざけ勇者め! ならば敢えて避けずに受けて、お前を絶望の淵に叩き落としてくれるわ!』
避けないと宣言するゲンブドラゴン。
己の強さに絶対の自信を持つドラゴンの習性なのだろう。
だが今度ばかりはそれが
「うぉぉぉっっ! いくぞ!! 限界突破! 超フルパワー≪ホーリー・ビーム≫!!」
俺はリュスターナの作ってくれた≪プロテクション・プリズムスタイル≫に全力の≪ホーリー・ビーム≫を撃ち放った!
聖剣≪クラウソラス≫から放たれた極太の光のビームが、≪プロテクション・プリズムスタイル≫に吸い込まれ――。
そして細い一本の光の線となって発射された!
「これは! そうか!」
「はい! 光を拡散させるのではなく、逆に収束させたんです!」
≪ホーリー・ビーム・ショットガンスタイル≫とは逆に、聖なる光を一点に集中させて高密度の光のレーザーに変換して撃ち放ったのだ!
言うなればこれは、≪ホーリー・ビーム・ピンポイントレーザー≫!!
収束し密度を増した光の線は一直線にゲンブドラゴンに伸びていき――!
ビュンッ!!
ゲンブドラゴンが閉じこもる≪ドラゴニック・スケイル≫を貫通した!
『ぐふっ……バカな……? 世界一硬い我が≪ドラゴニック・スケイル≫が、貫通されただと……?』
空中で悠然と浮いていたゲンブドラゴンがグラリとグラついたかと思うと、一直線に落下していく。
その身体を聖なる光が焼き清める。
ゲンブドラゴンは地面に落ちる寸前に、聖なる光で焼かれ塵と消えていった。
「……勝った、勝ったぞ……ふぅ、やれやれ。今回ばかりは疲れたよ」
「やりましたね勇者様! なんと四天王の1体を倒しちゃいましたよ!」
「ああ、それもこれもリュスターナが冷静に観察して作戦を考えてくれたおかげだよ。助かったよリュスターナ。正直、かなり危なかった」
「えへへ、ありがとうございます。ですが実際に戦って勝ってみせたのはやっぱり勇者様ですから。私はあくまでほんの少しお手伝いをしただけです」
謙遜するリュスターナ。
しかし。
「いやいや、特に最後の聖なる光を収束させるアイデアが無ければ、俺は負けていたよ。≪です・ブリンガー≫を攻略する方法がまるっきり見当たらなかったからな。さすがリュスターナ、ナイスアイデアだ」
「あー、えっと。実はあれ、軍師メイリンに事前に指示されていたんです」
「メイリンに?」
「拡散させる≪プロテクション・プリズムスタイル≫の訓練を見ていたメイリンに、逆に収束させる≪プロテクション・ピンポイントスタイル≫も試すように言われていたんですよ」
「まさかメイリンはこういう展開になることを見越していたってことか?」
「さすがは天才軍師と呼ばれるだけのことはありますよね♪」
まるで予知かよって言いたくなるようなメイリンの類まれなる頭脳に、改めて驚かされた俺だった。
ともあれ。
俺たちはこうして1万のドラゴンの大軍勢と、四天王の一人ゲンブドラゴンを倒したのだった。
また、雑兵ドラゴンがかき集められたせいで手薄になった各地で、人類の同時反抗作戦が開始されたらしい。
メイリンによるとドラゴンたちを一気に押し返し、人類の勢力圏をおおいに回復したのだそうだ。
ここにきて戦況は大きく動きつつあった。
人類の反撃が始まったのだ――!!
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