雨だらり

 外に出ると雨が降っていた。

 下りたばかりの階段を昇って、事務所の傘立ての中で縮こまってる置き傘を取り、また階段を下りて外へ出た。

 電車もバスもじめじめしていて嫌だった。


 お風呂から上がると新から電話。

「俺だよ」

 酔っている。

「何の用?」

 私たちは別れた。そんなに前じゃない。

 先月の二十日に別れた。

「アラタ。私もう行かないからね」

 べろべろに酔っぱらい、私が迎えに行くまで電話をかけてくる新。私は彼の弱さや自分本位のわがままに疲れ、これ以上自分の生活を蝕まれたくなくて新と別れた。

「俺、どんな様子か知ってるのか」

「千紗から聞いた」

 新は毎晩居酒屋をはしごしては潰れているらしい。勝手にすればいい。


「私は行かない」

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