はじめてのライン電話
あれから清瑞から連絡は来ず、俺はひとり『
もう零時。さすがにそろそろ寝ないとな。学校をサボるわけにもいかなくなった。俺は清瑞に会いたかった。
諦めてEOから落ちようとした時だった。
【フレンド:ヴェラチュールさん が ログイン しました】
と、システムメッセージが表示された。
おぉ、清瑞だ。来てくれたんだ!
……で、でも俺から話しかけて良いものか。悩んでいると
『やっほー。くっしー』
「き、きよ……ヴェラチュールさん。来てくれたんだ。てか、くっしーはリアルネームなので勘弁して下さい。出来ればキャラネームの“ヴォルスンガ”と呼んでくれるとありがたいっす」
『あ~! ごめんごめん。ついクセで。ちょっと話そっか?』
「も、もちろん。どうせなら『はじまりの街・ニーベルンゲン』で会いますか」
『うん、転移アイテムの“オレオール”を使って直ぐ行く』
[オレオール]
[効果]
転移アイテム。使用するとセーブポイントへ転移できる。テレポート禁止エリアや転移不可ダンジョンでは使用できない。
俺は元々、ニーベルンゲンの中央噴水広場でアイテムの整理をしていたので待つのみだった。少しして清瑞のパラディン、ヴェラチュールがやって来た。
ごっつい大男で筋肉質。滅多に手に入らないS級レアの鎧に身を包む。とても中の人がギャルとは思えないキャラだ。これが逆に女性キャラだったとしたら、男が放っておかないだろうな。だから、清瑞が
「いらっしゃい、ヴェラチュールさん」
「やっと会えたね、くっしー」
「って、また……まあいいか。あだ名だし」
「うん。くっしーはくっしーだよ」
どちらにせよ、これはオープンチャットではない、個人間チャットだから情報が洩れる事もないけど。
「これからどうしようかね。不死王の古城は攻略に時間が掛かるだろうし」
「うーん、じゃあ、EOは落ちよっか。寝る前にラインで電話しよ」
「え……マジ?」
「うん、マジマジ」
清瑞は、そう言って本当にログアウトした。
「マジかよ!」
……ちょ、え! まだ心の準備が出来てないぞ。チャットはまだ声とかないから良いけど、電話なんて……耳元で囁かれるようなものだぞ。レベルが高すぎる。
あまりの事態に俺はボケっとしていた。だが、清瑞は待ってくれなかった。ライン電話が掛かってきて、応答を求められた。
……これを出ないとか清瑞に失礼だし、嫌われる。そんなのは嫌だ。……俺は電話に出た。
『もしもし、くっしー?』
清瑞の声だ。耳元で聞こえる。
凄い距離感だ……。
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