……ああ。

 早く死刑にしてくれませんか?


 わたしはね、早く誰かに殺されたくて堪らないんです。

 今まで、人も動物も、たくさん殺してきました。

 みんな、綺麗な血を噴き出して。

 びくびくと痙攣して。

 死んでいきました。


 だから今度は、殺される感覚を味わいたいんです。

 

 でも、その誰かを犯罪者にはしたくないんですよ。

 優しいでしょう?

 かといって、自分で自分を殺すなんてつまらない。

 だったら、死刑になるしかないでしょう。



 ……ねえ、お巡りさん。

 どうしてあの時、母はわたしを殺してくれなかったのでしょうね。

 どうしてだと思います? 



 ……愛情、ですか?

 わかりません。それが愛情なんですか?

 わたしにはさっぱり、わかりません。




 祖母に復讐するために、厄介なわたしを押し付けたのだとばかり思っていました。






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