第11話 吾輩たちはあの電気ネズミのことをよく知らない


 

 「金とセレナだけーがこーいびとニャーン」


 今日も吾輩は、愉快である。


 いつも通りの黒猫だ。


 今日は、セレナが朝から騒がしい。


 どうやら、この街では停電が最近になって頻発しているらしく、買い物やらの準備で忙しいみたいだ。


 「ただいま黒猫さん! 寂しかったでしょ?」


 「そうでもないニャンよ〜」


 悪機があったのか、若干の照れ気味でセレナは笑ってみせた。


 吾輩の大好物ニュールを探す為、買い物袋の品を確認してみたのだが、訳が分からなすぎて困ってしまった。


 「ゴキブリホイホイじゃねぇかニャン!」


 余りに気が動転してしまった俺は、ゴキブリホイホイを床に投げつけた。


 「スパーキング!(sparking)」


 「何するのよ黒猫さん! 物を投げたらダメじゃない!」


 「何でゴキブリホイホイ買ってるニャンか! ロウソクは?」


 「ゴキブリホイホイ? 訳がわからないわ、黒猫さん あれはネズミ取りよ? ロウソクも買ってあるから夜も安心ね!」


 え? と言葉が出る。


 セレナの話しだと、現在の電気障害は小型の魔獣が原因だとのことで、このホイホイに引っ掛かりやすいらしく現在、馬鹿売れしているみたいだ。


 そんな物が異世界にあったとは、驚きが隠せない。


 「そうだ! 黒猫さんお願いがあるのだけど屋根裏に荷物を置いておいて!」


 「任せるニャン!」


 そうして俺は、屋根裏へと荷物を咥えて駆け上がった。




 「ここかニャーン?」


 薄暗く周りが見えないが、屋根裏内部の壁付近に荷物を置くことにした。



 もう戻ろうと、俺は屋根裏から出る寸前のことだった。


 あんな魔獣に出くわすなんて。


 それは、出会ってはいけない恐ろしい化け物だった。







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