胎児でいられないおれたち

佐伯都

遅れてきた季節

ウツのとき

ずっと閉じこもっていた

ずっとクーラーきいた部屋で

真っ暗にして寝てた

いまが

昼だか夜だかもわからないまま

おなかが空いたら茶碗蒸しをたべて

身体がペタペタしてきたら拭いて

ずっと夜 涼しい夜を過ごしてた

ある日

どうしても病院にいかなくちゃならなくて

久しぶりに外に出た

カンカンに照ってた太陽は

ちょっとしんなりしていて

夏が遅れてやってきたのか

秋がもう来たのか

わからなかったけど

結局通院もできなかったけど

季節は知らない間に動いてた

時計が止まってるのは

カレンダーがめくられないのは

うちだけでした

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