馬鹿の子は馬鹿なのか
サイレントマジョリティー。この国には同調圧力により、多数派という名の敗者たちが存在している。少数派になり、公の場で断罪された少数派の者たちのようになるまいと必死に自分を守った結果、自己の意見を殺してしまう。実に哀れで、実に……、理解できぬ者たちだ。
私は、そんな既に死人同然の考える機能も停止した馬鹿どもを操るヒューメイリアンだ。一言で言えば、人間の権力者に化けてその他大勢の猿どもに自分の意見を押し付け、あとは快適に暮らすだけの化け物だ。私の正体は見るもおぞましい怪物だというのに、あいつらは畏まり、平伏し、そして従順にしたがってくる。実に下等で愚かだ……。こんな風に私がワインをたしなみながら馬鹿にしていることを知っていても、抗うこともできない、ただのごみクズだ。今日だって、あいつらにとっては何の意味もないのに、私の一声で戦争を始めさせてやった。ちょっと考えれば、同じ種族で争うことは無意味だと分かるだろうに。まぁ、この優秀で絶大なる権力を持った私の言う事には何も考えずに真に受けてしまうのだろうな。実に、愚かで低能だ……。
そういいながら、私は席を立つ。私の半身は既に切り刻まれていた。馬鹿な……、そんなはずは……。私は、何もできずにそのまま意識を失った。
「散々、馬鹿だ馬鹿だ言いやがって……、人のことを馬鹿にするやつがバカだって教わらなかったのか?」
空中を浮遊しながら、赤ん坊はふっと指に息を吹きかける。これで、32体目。全く、馬鹿な大人だもは手がかかるぜ。っと、馬鹿って言ったらママに叱られるな。俺は厳しい表情をした後、またミルクを手に取って一服を始めたのだった。
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