46話 義妹との夫婦生活(仮)【先行版】




 セカンド義妹、あいりちゃんが俺の家族になった。


 その日の夜。

 あいりちゃんが寝静まったあと、俺は義妹……夕月ゆづきをリビングに呼び出した。

 俺は簡単に、あいりちゃんのいきさつを話した。


 戦争孤児だったことや、彼女の異常な知識欲について。


「そうだったんだ……」


「ああ。だから、俺はあの子に家族として接したいと思ってる」


 俺はあいりちゃんに対するスタンスを、夕月にも共有してもらいたかった。


「わかった。私も亮太君に協力するよ♡」

「そうか良かった」


「うん♡ 新妻役やれば良いんだね♡」

「ん? んん?」


 な、なんか今……変なこと言わなかったか?


「あれ、違うの?」


 きょとん、と首をかしげる夕月……。

 いやいや……。


「あ、わかった」

「そうか分かってくれたか」

「若奥様やればいいんだね♡」

「違う違う、そうじゃない、そうじゃないんだ」


 でも、と夕月が続ける。


「あいりちゃんに家族として接するなら、一番わかりやすくない? わたしがお母さん、で、亮太君がお父さん。あいりちゃんが娘」


「いや普通に兄と妹でよくないか……?」


「普通の兄と妹はえっちしないよ♡」


 その通り過ぎてぐうの音もでなかった……。

「あいりちゃんがいるからって、えっちしないってわけじゃないし」


「いや……でもさすがに教育上悪いような気が」


「大丈夫だよ♡ 子供が寝静まったあとに、こっそりえっちすれば♡」


 夕月が目を♡にして、俺の隣の座る。


 ちゅ……ちゅ……と俺の頬にキスをする。


「ふふ……一足早い新婚ごっこだね♡」

「ま、まあ……その方が都合、いいか」


「そうだよ♡ ふふ……わたしにとっても好都合だし~♡」


 夕月にとっての好都合?


「だってさすがにみんな呼んで乱交パーティみたいなこと、できないでしょ? ってなると、亮太君を独り占めにできるわけだ♡ お家だと♡」


 夕月一人だけなら、まだしも。

 さすがに複数人でやればあいりちゃんにばれるだろう……。


 特に、約一名、セックスモンスターがいるからな。


 みしろ抜きならまあ、なんとかなるかもしれんが。


「最悪のモンスターは外で適当に、それこそ便所とかでやり捨ててあげればいいのでは?」


「おまえみしろにあたり強いよな……」


 まあ何はともあれ。


「じゃ、わたしはお母さんで、亮太君はお父さんってことで♡」


「まあ……それでいいか」


「うん♡ じゃ、さっそくパパのお仕事してもらおうかな~♡」


 夕月がスカートをたくしあげて、ギラついた目を俺に向ける。


「な、なんだよ……パパのお仕事って」


「ふふ♡ そんなの……赤ちゃん作ることに、決まってるでしょ♡ 早く妹作ってあげないと……♡」


 完全に夕月は、役に入り込んでいるようだ。

「さ、さすにがリビングではまずいって……」


「でも、子供にばれるかもって重いながらの方が、もえない?」


 確かにいけないことをしているような気がして、たぎる……が。


 さすがにトイレに出てきたあいりちゃんと鉢合わせる可能性があって、無理。


「……おまえの部屋でな」

「やったー♡ パパだぁいすき♡」


 夕月が俺に抱きついて、キスをしてくる。


 俺は夕月を連れて寝室へと向かった。


    ★


 結論から言うと、めちゃくちゃ盛り上がった。


 あいりちゃんを起こさないようにするのが、思った以上に興奮を引き起こすシチュエーションだったらしい。


「おはようございます、お兄ちゃん、ゆづきちゃん!」


 朝、リビングにて。


 パジャマ姿のあいりちゃんが、ペコッと頭を下げる。


 夕月は微笑みながら、あいりちゃんに近づく。


「おはよう、あいりちゃん♡ それとね……わたしのことは、本当のママって思ってもらっていいんだよ」


 突然のことに目を点にしているあいりちゃん。


 性急すぎるだろ……。


「ま、まあ……その……。なんだ。家族としておまえに接するっていったら、夕月のやつが……」


「ままっ」


 予想以上の適応の早さで、あいりちゃんが夕月に抱きついてそういった。


「良い子良い子♡ 亮太君のことはパパって呼んであげてね」


「うん! パパぁ~♡」


 ……なんか知らないうちに、疑似家族的な展開になってしまった。


 まあ、あいりちゃんは夕月のことを結構すんなり受け入れてもらえたからいいか。


「ぱぱー。新聞取ってきて~♡」


 夕月のやつ、ノリノリである。


 まあいいけどさ……。


 俺が新聞を取りに、玄関を出た……そのときだ。


「はっはっはっはっはっはっはっはっ」


 ……。


「ごしゅじんしゃまぁ~♡ おはようございますぅ……♡」


 ……首輪を付けた女が、玄関前で座っていた。


 梓川あずさがわ みしろだった。


「……おまえ、何してんだ?」

「ごしゅじんさまの性欲処理のためぇ、ずぅっと待ってました~♡」


 ……こいつ。

 帰ったあと、またここに来て、夜中中待ってやがったのか……!


 どんだけ性欲たまってんだよ……。


「ごしゅじんさまっ、ごしゅじんさまぁ、朝のミルク……」


「ハウス!」


「きゃわん!」


 ……このセックスモンスターを、あいりちゃんに近づけさせるわけには行かない!

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