とびっきりのご飯

よしの

プロローグ


 日本の真ん中にあるこの街は、いつだってアウェイ感に溢れている。

 今まで一度だって親近感を感じた事はないし、居場所って感じた事は一度もない。冷たくて、無関心。その代わり、夏のアスファルトはこれでもかってくらいクソ熱い。


 この街に来て、もうすぐ10年が経とうとしているけれど「おかえり」と迎えてくれた事は一度もない。だから私からも「ただいま」と言う事はない。


 そんな街が私のいる街。けど固執しているのは私の方だ。

 好きじゃないのにずっといる。こっち向いてよって、駄々捏ねる。

 離れられないのは私の方だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る