EP13 紫のやばい奴ら
あれから2週間ほど経ち世間は落ち着きを見せた。どこの新聞、週刊誌も総力を持って調べたが分からなかったらしい。
テレビのコメンテーターや都知事さんも不思議な珍事だけど結果皆んな得しかしてないのだからいつまでもこのニュース必要か?
そんなのネットで好きなヤツらで集まってやればいい!
もっと必要なニュースや情報をテレビは発信すべきだと思うと言った事で翌日からどこも取り扱わなくなった。
うーーーん、いい事言うな。
都知事さんとはあれからメル友になった。
ほぼ都政の愚痴が多いがトップの人は周りに中々腹を割って話しが出来る人がいないのかも知れない。
孤独なもんだな。
オレもなんでDMを送ったのかとか普段より街のゴミ拾いを日課にしている事。オレの東京への熱い思いを語った。
お互い距離が縮まった。
たまに都知事から今度は大騒ぎにならない様にシークレットで仕事の依頼が来る様になった。
そんなこんなでも悪人成敗は継続している。
この2週間で
詐欺集団アジト26殲滅 ギルドポイント142
薬物製造工場18殲滅 ギルドポイント73
悪徳商法15殲滅 ギルドポイント1358
ぼったくりバー35殲滅 ギルドポイント196
違法風俗店15殲滅 ギルドポイント42
飲酒運転常習者55殲滅 ギルドポイント55
空き巣15殲滅 ギルドポイント150
自転車泥棒38 ギルドポイント38
落書き犯5殲滅 ギルドポイント50
痴漢盗撮犯112殲滅 ギルドポイント112
合計2216ポイント
累計2397ポイント
悪徳商法は大規模投資詐欺を数件成敗したからポイントも多いな。
以外なのは空き巣のポイントが高い事だ。空き巣はほぼ単独犯だ。多分考えられるのは事前の下見、室内への侵入、物を盗む手口が異世界ではスキルと見做されたのであろう。
ダンジョン内で役に立ちそうだな。
落書き犯は芸術家としての評価かな?
本人達もコレはアートだと言っていたから丁度いいだろう。落書きされたお店は迷惑以外の何物でもない。
これだけ悪人が居なくなっても誰も騒がないのは不思議だ。
まあ悪人の身内は探しているかも知れないが、直ぐ忘れて人生リスタートを切っているのかも知れない。
ただし警視庁は違った。
長期間内定捜査や張り込みしてる案件がことごとく潰され、アジトはものけの空で不信感を抱き調査チームが発足された。
若手中心のメンバーらしい。
がんばれよ!
【紫のヤバいやつら】
東京には65グループあった。
構成員は合計7.586人殲滅
ギルドポイント13.568
【不法滞在+犯罪者殲滅数】
中国 2.586人 ギルドポイント4.032
ネパール 159人 ギルドポイント452
ベトナム 1325人 ギルド2.544
タイ 58人 ギルドポイント95
フィリピン 259人 ギルドポイント321
ナイジェリア 139人 ギルドポイント422
合計7.866ポイント
総計21.434ポイント
累計23.831ポイント
ひとつのアジトの攻防を紹介しよう。
六本木から麻布十番にかけて多くの飲食店があるヤツらはそこを隠れ蓑にし甘い汁を吸っている。
見た目はガールズバー、キャバクラ、隠れ家バー、カジノ店など普通を装ってもオレのマップには赤や紫で埋め尽くされている。
今夜は長い夜になりそうだ。
(カツ、カツ、スゥーッ、ビリリ、ビリ)
道を歩きながらも色のついたヤツは片っ端から電撃からデリートして行く。
(スゥーッ、ヒュン)
目の前から仲間が突然消えたてキョロキョロしてる間にお前も消えてもらう。
ここのエリアは悪人だらけだな。
道を歩いていると向こうからやって来るからやりやすい。もちろん今回はご丁寧に荷物なんで持たせてやらない。ありのままの自分で異世界チャレンジしてもらう。
相手は自分に攻撃態勢を整えてないからこうも簡単に行くけど。
(お兄さん!これから飲み?良い店紹介しますよ!しかも今日オープンだから特別価格の飲み放題だから、さあ、さ、さこっち)
キャッチに騙されたフリをしてついて行く。
店の前に立つと中からかなり大きな反応がする。さしづめラスボスの部屋の前か、店は奥に広い鰻の寝所の様だ。入り口には黒人のセキュリティスタッフが2人立っている。
見た感じあまり強そうでは無い。
アメリカかぶれの見様見真似のカッコ付けだ。
(ガチャ…)
(いらっしゃいませ!こちらのお席にどうぞ)
ソファ席に通されコーラを頼んで席を立ちトイレに立った。
(ドサッ)
ダミーのカバンを席に置いて来た。
「ちょっとトイレ行って来るからえっと取り敢えずビール、つまみを2品くらいで」
『はい!かしこまりました』
トイレで装備を整え出る。
気配感知のレベルが上がり新しい機能で周囲の人物に色タグを付けれるようになった。
(スゥーッ、ザッ、ダン、ビリリ、ビリ、ヒュン)
その目印を元に狭い店内を蹂躙する。
『オイ!なんだこれは!』
『オイ!お前ら何やってんだ!』
フロアから人が消えてるのをモニター監視していたボスが何が起きたかと出て来た。
(スゥーッ、ザッ、ザッ)
残りボスと取り巻き3人か久しぶりに素手の格闘で勝負だ。デーブルやソファはすでにデリートしてありさながら小さなリングの様だ。
『おりゃ!この野郎!』
いきなり殴りかかって来た取り巻きAに左手で相手のパンチを外に弾き掌底を喰らわす。
(ザッ、ドン!)
『うっ!』
(ビリリ)
「デリート!」
(スゥーッ、ヒュン)
『オイ!行けよお前たち!相手はひとりだぞ』
『この〜おりゃ〜』『ふざけやかって』
次は2人同士にかかって来た。
(サースゥーッ、ザッ、ドス)
身体を僅かに左にずらして取り巻きBを交わし背中に一撃し
(ビリリ)
「デリート!」
(スゥーッ、ヒュン)
「おっと、あぶな…」
そのまましゃがみ込み回転しながら踵で相手の足ごと払う。
(ザッ、ダン!バタン)
床に頭を打って
「デリート!」
(スゥーッ、ヒュン)
「さあ、ボスだ」
するとボスはバーカウンターに行きハイボールを作り始めた。オレは取り残され、ファイティングポーズのままポカーンとした。
「あれ?」
ボスが…
『お前は何を飲むんだ?」
「じゃあ、コーラで」
『まあこっちに来て座れよ』
カウンターでボスの向かいに座り
『お前名前は?』
「グレイ」
ボスからは戦意は感じないが諦めた顔をしている訳じゃない。
『なぜ?こんな事をするんだ』
『オレがお前に迷惑をかけたか?』
悪人からそんな質問をされたのは初めてで驚いた。ボスは冷静だ。やはり頭をはるヤツは違うなと感じた。
そしてオレの東京を守る為とオレの信念を話した。
『じゃしょうがない』
『俺も引けねえんだわ、やるか!』
再び仮のリングに戻り対峙する。
『すまんが手加減が出来ないから本気で行かせてもらう』
(ダッ、ダダッ)
ボスは素早く踏み込んで来た。
(ブゥワッ、バチン)
頭の上から降り下ろされるような右フックが飛んで来た。頭を下げ両腕をクロスし防ぐが腕がビリビリと痺れた。
これは食らったらやはりヤツだ。
(サーザッ、ヒュッ)
続けざまにローキックか飛んで来る。
(タッタタン、ザッ)
思わず後ろに飛んで距離を取る。
『なかなかいい読みしているな。経験者か?悪くないぞ』
今のオレは掴まれたり、倒され寝技になったら逃げれない。ボスは格闘技経験者だろう戦い慣れており技の流れが早い。
ここは時間は掛けられない。
次のターンでお見舞いしてやる。
(ザッ、シュッシュ)
右フックから左ボディのコンビネーションがきた。
「おっと」
(ヒュ、ダッツ、スゥーッザッ)
「シャー!シュッ」
(ダッンドスッ)
右フックを交わし、左ボディを受けに行き当たる手前で右腕と腋で挟みそのまま巻き込んで回転し左フックをお見舞いした。
『うっ、!?』
(ドス、ドーン…バタン)
ボスは後ろの壁まで吹き飛んだ。
まだ意識はあるがもう戦意は無い。
ボスはオレを見て言った。
(ウッ…)
『これから俺はどうなるんだ』
殺されるとでも思ったらしい。信じるか分からないが異世界チャレンジついて話した。
(フッフッフフ、ハッハハハッ)
『そりゃ楽しそうだな…』
『他の奴らも同じか?』
「ああ…先に飛ばしておいた」
「お前なら立派なクランを作れるだろう」
「死ぬなよと伝え」
(フフフッ…)
(ビリリ)
サンダーダガーをチクっとし
(スゥーッ、ヒュン)
「デリート!」
「はぁ〜、ふぅ〜」
俺はその場でへたり込んだ。
戦いに疲れたのではなくボスとのやり取りでの心労だ。
店の中の物全てデリートして女の子たちは一箇所にまとめて置いた。しばらくしたら目を覚ますだろう。カバンだけ多分人数分置いて置いおく。
東京23区内制圧には1ヶ月ほど掛かった。
その後ギルドポイント34.856取得した。
累計58.687ポイント
そして、赤いヤツらが動き出した。
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