第8話 決死の覚悟で応じた学者
ヴァロウズ4番目の女魔導士フォウが、ルイスより
このレイピアはコルテオを繋ぐ
「ま、守れ
「だ、駄目ですマスターっ! 此処は逃げてっ!」
ドゥーウェンはオルディネによる結界を張ると同時に、まだ自分の制御下にあるコルテオでのフォウに対する攻撃を決して諦めなかった。
けれども黒い炎はいよいよドゥーウェンに押し寄せる。彼はフォウへの攻勢を止めないことで魔法への集中力を切らすことを狙ったのであろうか。
だとするならばそれは彼らしくもない
詠唱中か
この場に
「あぅっ!!」
「わ、
彼女の黒い炎がオルディネの張った結界を押し
結界を破られた驚きを表現する間すら与えらずに、ドゥーウェンは身体も精神も何かに持っていかれる様な、これまでに経験した事のない感覚に襲われる。
「こ、これは超重力? いや、そんな
「………
「アァァァッ!!」
「
まさに絶望の淵へ落ちてゆく様を、特等席で観戦しているルイスが絶対的
「マ、マスタァァァァーーー!!」
有能なベランドナさえもその光景に、ただただ絶望するしかないと思った。
黒い炎がドゥーウェンの身体よりも大きくなり、その悲鳴すらやがて聞こえなくなってゆく。
敵味方関係なくその光景を目にした全ての者が、これで彼の命運は
やがて悲鳴が完全に聞こえなくなり、黒い炎は小さくなって消失した。同時にドゥーウェンの存在も消えた……筈であった。
「ハァハァ………、や、ヤバかったですね。流石に……」
なんとドゥーウェンは生きている。声は
当然その場に存在している彼を
「な、何だとぉぉ! 馬鹿なっ! 私の術は完璧だった…………」
「マスターッ!」
在り得ない………この結果に
ベランドナもボロ雑巾と化したドゥーウェンに
「い、いや……た、確かに、か、完璧でした。ただ私にはハイエルフ、ベランドナという、た、
息
「成程……やってくれる。先ずコルテオの制御を奪ったのは扉の能力ではなくハッキング能力の応用か。Ver2.1の処理能力もそちらに振ったな………」
ルイスから先程までの余裕の笑みが流石に消えた。
「さらに
「良くもまあ、ご自分の考えをそうやってひけらかせるものですね………」
ベランドナがルイスに
ルイスから笑みこそ失せたが、こうも
「怖いな………後はヴァイロより上位の神から魔法の解除を試みてオルディネの結界に反映させた。………と言った所かな」
ベランドナの刺す様の視線に一応おどけて見せながら、一通り
◇
ガロウ、ランチア、プリドールの
「
ガロウがアイリス期限切れ直前の赤く染まった日本刀をノーウェンの胸の辺りに突き刺した。大爆発………やがて煙が晴れて二人の姿が浮かんでくる。
以前ガロウはローダが同じ名前の技を使った際「あれはデタラメだ………」だと切って捨てた。
あの際ローダの方は、トレノが
それに対し櫻島を用い、やはり大爆発を起こすことでその難を逃れた訳だが、ガロウの行為とて相手に刺してから使ったという以外、言う程の違いはない。
要は奥義ですら実戦で先にやられたことを認めたくないだけであろう。
此処でガロウのアイリスによる効力は完全に失われ、赤の輝きを
首以外は
「やっ………やったのかっ!?」
「い、いや、待て団長。あの首だけの化物を良く見るんだ………」
その状況を見て流石に勝てたのかと思ったランチアであったが、プリドールはその
「や、やはり無理だったか………」
アイリスと共に鹿児島の
蹴り飛ばされた時に切った口からも血が
「奴の魂は恐らく
「そ、それにしたってアレはもう戦えないだろうがっ?」
「いやいや………本当に貴様、ただの侍にしとくには
「へっ、そりゃあ、どうも。だが俺には
ガロウの見立てを示すかの様に、ノーウェンがアッサリとその口を開く。血の混じった
「愛に生きる侍か………実にくだらぬ………」
言っている
昔の………150年前の記憶を
深手こそ負ったが一命は取り留めたフォウ。そして首以外を失ったものの、今にも元通りになる勢いのノーウェン。
そして何よりも
対するフォルテザの陣営は、ドゥーウェンは重体で気絶している。ガロウとて戦い続けるにはかなり厳しい状態。
ランチア、プリドールも、間もなくアイリスの稼働時間が切れて、お互いのシャチを失うであろう。
ベランドナだけは未だ健在だが、どう考えても今の布陣で勝ちは見込めそうにない。
(ローダ、サイガン、
ルイスは地下牢で
…………そんな矢先、希望に満ち
「「…………アイリスッ!!」」
声と共に緑色の光の渦がフォルテザの地上まで届き、傷ついた戦士達を包んでいく。
この光景をルイスは、カノンでの戦闘に
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