第16話 口の減った侍と口の減らない拳銃女
勝った………と素直には喜べない結果に終わったルイス達のフォルテザに対する襲撃。
力の差を肌で思い知った面々………少しでも差を埋めるべくそれぞれ
ただ努力すれば良いという話ではない。個々の実力向上だけでなく、連携も重要だ。
此処に独り、考えるのは苦手だという
「レイ………ちょっといいだろうか?」
「ん? 何だ
フォルテザの砦の屋上で
「ば、馬鹿言ってんじゃねえ、俺は
「へぇー、違うのかい。だったら一体何だってんだ?」
普段なら相手を小馬鹿にして楽しむレイとて、これはしっかり話を聞いてやろうという
煙草の火を砦の石壁に押し付けて消すと携帯灰皿に捨てる。意外と真面目な奴なんだなと、それを見たガロウは感じた。
「お前のあの空間転移って言うのか? アレ、中々
「おっ、そうだろ、そうだろ。正直言って、あの
ガロウは再生したノーウェンの身体を瞬時でバラバラにしたレイの力を、世辞抜きで
これは実に気分が良い………悪い気を起こす訳がない。レイの銀髪を暴れさせていた屋上の強い風すら
「でも武器は何も
上機嫌のレイがホルダーから
しかしこれらもドゥーウェン等が2092年という
「成程……確かにな。俺、頭
「アレはアレで、なかなかにイかしてたぜ。あの
「しかし……勝てはしなかったがな」
珍しく……というより恐らく初めてレイがガロウを褒めたのである。それでも浮かない顔で歯切れの悪い喋りを続けるガロウである。
示現我狼……
けれどもチャクラを溜める時間を要するのが非常に痛い。
一方これを真似たローダは、何故だか連撃が出来ている。ならばやり方をローダから教われば
そんな次第でガロウがアイリスによって開いた扉に望んだ力は、示現我狼の連撃であったのだ。
……にも関わらずノーウェンに勝利出来なかった。相手は決して死なない存在であったのだから、そこまで思い詰める方が
「またシケた顔してやがんな………さてはお前、後出しで割り込んだアタシの方が戦果を挙げたと思って
「むぅ………」
「ハァ………あれは此方の銃撃の方が、たまたま効率が良かっただけだ。そんな事も判らないのか?」
今度は面倒臭そうに頭をボリボリと
手数と破壊力が増しただけのことである。ガロウの
レイにしてみれば「そっちの玩具の方が良かった……」などと
とにかく歯切れの悪いガロウ………そもそも1年前、心から頼りになる戦友がルシア位しかいなかった頃。
彼は比較的無口な男であった。それが大いに成長したローダや騎士ジェリド、リイナなどの心強い味方が増えてゆき、心を開くにつれてその口数も多くなっていったのである。
けれども今、レイが相手をしている彼は無口………自分の無力さを痛感し、またもだんまりの男に戻ってしまったかのようである。
「それで……結局のところ、アンタはこのレイ様に一体何を求めてんだ?」
「あの、空間転移を使ったお前と手合わせ……違うな。
ガロウの返答を聞いたレイは「ほぅ……」といった顔で暫く黙った後、ニヤリと笑う。
「俺の銃とやろうってんのかい? 負ける気しねえけどな……判った、そういうつもりなら、いいやり方があるぜ。着いてきな」
サッサと歩いて屋上から降りてゆくレイ。ガロウが
着いた場所は屋上とは完全に反対と言える薄暗い部屋。
「こ、これは何だ?」
何とも
何より薄気味悪いのは、椅子についているベルトらしきもの。これが身体を固定するというよりも、まるで逃げられない様、座る者を縛りつける感じに見えたことだ。
胸、腰だけでなく、肘置き、足を置く所にもベルトは存在し、これら全て固定されればガロウとて自力では逃げられないかも知れない。
「れ、レイさん? な、何用ですか?」
「おいおい、もう取って食ったりしないからさ。それよりも例のヤツ……もう出来てんだろ、
不意にレイから肩を抱かれてドゥーウェンは慌てふためく。その慌てぶりにレイはケラケラ笑いながら、少しだけ首を絞めにかかる。
「レイさん………本当にやるんですか? これまだ僕ですら試験運用してないんですよ」
「だからこそ
「な……。い、一体何をしようってんだ?」
不意を突かれたガロウ、自分を指され
「ガロウさんにもこれを使わせるつもりですか?」
「だからこの意味の判らん物は、一体何だと聞いている!」
ドゥーウェンはガロウがまだレイから
「全く……
「し、シミ………!? 俺にも判るように言ってくれ」
「ええと………通称『
「あ、アイ? ギジ?」
ドゥーウェンに「判るように………」とお願いしたが、頭を大いに
「早い話が此奴に座っている間、ずぅぅぅとあのアイリスとやらの状態で戦ってられるって寸法よッ!」
「な、何だと? アイリスを使い放題!?」
「あくまで体験………まあ夢の中で戦うとでも思ってくれ。だがなッ!」
もうドゥーウェンからの説明を完全に取り上げたレイ。腕を組んで胸を張り、そしてあろうことかその椅子の上をダンッ! と右脚で踏みつける。
「例え夢でも撃たれりゃ
ドゥーウェンの丁寧な説明よりも、レイの適当な説明で大体の事を察したガロウ。その両目が燃え盛る。
(嗚呼、駄目だ……この人もレイさんと同じ人種だった…………)
ドゥーウェンは「最早これまで」と思いながらも一応忠告だけはする。
「いいですか、ガロウさん。この
「
「………さ、最悪、脳に回復不能な
「上等だっ! 喜んで実験台になってやるぜっ! さあサッサとおっぱじめようぜッ!」
ガロウが自分の両拳を全力でぶつけ合って痛快な笑顔に変わった。ついさっきまでの曇り顔が嘘のようである。
「そうそう、その顔………。髭野郎にはその顔が一番似合うぜ。よっしゃあっ! 死ぬ気でかかって来なッ!」
レイとガロウ………二人の
なお
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