いろいろ
ハリー
節分
*「2月になんか、外で撒く行事あったよね。あれってなんだっけ?」
「2月に外で撒く、って言ったら節分の豆撒きでしょ。炒った大豆を家の外に向かっ
て「鬼はー、外!」って言って投げるんでしょ。まあ、実際はそこに鬼はいないけど
ね。いる感じで投げるんだよね。でも、間違ってもそのセリフでお母さんめがけて投げたらだめよ。きっと、めっちゃ、怒られるよ!
「なんだとー!もういっぺん、言って見い!」とか「10倍返しだー!」って言って、反撃されるよ、実際。『カクヨム』で読んだから言ってみた、って言っても
言い訳になんないよ、その時には。もう、お母さん、『何じゃ、そりゃー!」っていって、聞く耳持たないから。鬼になったお母さんは怖いよ。豆じゃ退治できないからね。逆に絶対、退治されちゃうから。注意だよ」
*「でも、高い所からも撒くらしいよ」
「そりゃ、豆撒きじゃないね。建前の棟上げ式の行事だよ、それ。施主さんが無事に家が建ちますように、って餅やらお金やら撒いて厄払いするんでしょ。あれね、あんまり前に行かないほうが良いよ。投げたのが頭上を超えていくからね。ちょっと、後ろの方で、投げる人にアイコンタクトするのがコツね。『こっち、こっち!』
って、女子なら叫ぶのも良いね。実際、良くいるよね、そういう人。一緒に行ったお母さんが張り切ってても「お母さん、恥ずかしいからやめてよ!」とか言っても無駄だから。「あんたのためでしょ!」って、謎の返事が返ってくるからね」
*「お相撲さんも撒くらしいよ」
「そりゃ、豆撒きでしょ。成田山とか有名なお寺で、横綱とか有名人が撒くやつだよね。あれは一度でいいから参加したいよね。お母さんが、「きゃー、照ノ富士!御嶽海!」って叫んでも、「?」ってなっちゃだめよ。お相撲さんは皆んなそんなもんだからね」
*「でも、白くて塩っぱいらしいよ」
「そりゃ、塩でしょ。土俵を清めるための塩でしょ。そんなの撒くのは国技館のお相撲さんだけだろうけど。お相撲さんも、もしヤジに腹が立ってお客さんに撒いたら大変だろうね。お客さんは、『何すんだ、バカヤロー!」って叫ぶだろうし。お客さんが土俵に上がってきたりしてね。『勝負するか、コノヤロー!』って意気込んでも、
相手が悪いよね。まさか勝ったら、スカウトが来ちゃうね」
*「だけど、母さんもたまに『塩まきな、塩!』って言うよ」
「そりゃ、よほど嫌な客が来た時でしょ。嫌な親戚とか。時々、いるよね。『遊びに来た』って、言いながら、自分ちの自慢ばっかり話して帰る人。あれ、きっと人に自慢したい話があるけど、他人に話すと角が立つから『身内なら良いだろ』って思ってんだろうね。でも、相手する方は大変だよね」
*「海苔で巻くらしいよ」
「そりゃ、巻き寿司でしょ。2月の巻き寿司ったら恵方巻じゃないの。2022年は北北西らしいよ。黙って一度に食べないとだめだから」
*「恵方巻を撒くんじゃないの?」
「恵方巻撒いちゃだめでしょ。地面に落ちたやつなんて食べられないよ。それとも、野良猫にくれてやる、って事かな?」
*「恵方巻を撒くんじゃないんだ!お母さんに言ってこよ!」
「どんなお母さんなの、全く!」
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