第13話

ダンジョンの12層、千優と銀花はアンデッド系の魔物たちに囲まれていた。アンデッドたちは、通常の攻撃ではダメージを受けず、再生能力を持つため、倒してもすぐに蘇ってくる。二人は苦戦し、攻略スピードは予想以上に遅れていた。


「くそっ…!なんでこんなに手こずるの…」千優は汗を拭いながら、疲れた表情で呟いた。彼の瞳には焦燥感が見え隠れしていた。銀花もまた、その様子に気づいていた。


「千優、少し休もうか」銀花が声をかけた。


「いや、まだ戦えるよ。休んでる時間なんてないんだ…もっと進まないと…!」千優はそう言って前進しようとしたが、銀花が彼の腕をしっかりと掴み、引き止めた。


「無理をしても、結果は良くないよ。今のままじゃ集中力が切れて、かえって危険だよ」銀花は優しく、しかし断固とした口調で言った。


千優はその言葉に少し考え込み、ため息をついた。「でも…こんなに遅れていたら、もっと厳しくなるんじゃないかって…」


銀花は彼の言葉を聞き、優しい笑みを浮かべた。「焦る気持ちはわかるけど、休息も戦略の一部だよ。無理をして体力を削るよりも、少し休んでリフレッシュする方が、結局は早く進めることになるかもしれない」


千優は銀花の言葉に心が揺れた。確かに、彼女の言うことには一理ある。無理をして進んでも、疲労が溜まってミスを犯す可能性が高くなるだけだ。


「…そうかもしれないな」千優は銀花の言葉を受け入れ、少し微笑んだ。「ありがとう、銀花。君が言ってくれなかったら、きっと今頃無理をして戦っていたと思う」


銀花も微笑み返し、「明日は少し休みを取ろうよ。息抜きも大事だから、デートでもしようか?」と提案した。


千優は一瞬戸惑いの表情を見せたが、すぐに「デートか…それもいいかもしれない」と頷いた。


「決まりだね。明日は街でデートしよう。美味しいものを食べたり、楽しいことをしたりして、気分をリフレッシュしようよ」銀花は嬉しそうに言った。


「うん、楽しみにしてるよ」千優はそう言って笑った。彼の表情には少しだけ余裕が戻っていた。


その夜、二人はダンジョンから引き上げ、翌日のデートに備えて早めに休むことにした。千優は久しぶりに穏やかな気持ちで眠りについた。


翌朝、千優は目覚めた瞬間から、昨日とは違う軽やかな気分を感じていた。今日がデートの日だと思うと、自然と笑顔がこぼれた。銀花と共に過ごす一日が楽しみで仕方がなかったのだ。


「今日はどんな服を着ていこうかな…」千優は普段よりも少しお洒落をしようと、クローゼットを開けて悩んでいた。デートという特別な日に、少しでも銀花に良い印象を与えたいと思っていたのだ。


準備を整え、千優は銀花と待ち合わせの場所へと向かった。待ち合わせ場所は街の中心にある広場で、そこには人々の賑わいが広がっていた。銀花はすでに到着しており、笑顔で手を振っていた。


「おはよう、千優」銀花は元気よく声をかけた。


「おはよう、銀花」千優も手を振り返し、彼女のもとへと歩み寄った。


銀花は今日の千優の服装を見て、「今日はちょっとお洒落したね。とても似合ってるよ」と褒めた。


千優は少し照れたように、「ありがとう。銀花もすごく綺麗だよ」と返した。

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