第74話
ヨグと私は探索者ギルドを抜け逃げるようにしてダンジョンの前まで来た。
ヨグが言うにはこのダンジョンは『星屑の遺跡』という名称を持つダンジョンらしい。
中は35層まであることが確認されているらしいがそれ以上下に行くことは現状不可能だと言われているとのことだ。
難易度的には1層から9層までがFからDランク、10層から29層までがCからBランク、30層から35層までがAランクが丁度いい敵の強さとなっている。
ちなみにSランクがないのはSランクの探索者がここに来ないためであるかららしい。
Sランクの探索者は大体が国に所属しており城の中で生活し必要があったりすると命令を受けて動くという感じだから命令を受けない限り通常は動かしないらしい。
これは冒険者も大体同じ感じだ。
Sランクになった『ドラゴニア』は国ではないが伯爵と契約して伯爵領に留まっているし伯爵や王の命令で動く。
まぁその中でも例外と言われる奴もいるようだが…。
「ねぇ?レナ…本当に僕とパーティを組んで良かったの?」
そう言われて私は少し考えたふりをして…間を置き何も考えずうなずく。
ダンジョンは初めてだからわからないことも多そうだしな。
それにヨグは経験が多そうだし。
そうして私たちはダンジョンの入り口である扉を開き入っていく。
そこで目に写るのは草原。
空は雲ひとつないが薄紫色で不気味で太陽は3つある。
だが特に暑さは感じないなんとも不思議な世界だ。
「そ、そうだ一応僕のスキルを教えとくよ…まぁどれも使えないんだけどね」
そう言ってヨグは探索者のタグを手に持つ。
すると私がいつも出しているステータスのような感じの薄い板が空中に現れそこに文字が描かれていく。
名前:ヨグ
性別:男
種族:人間?
年齢:6
職業:研究者
適正属性:時空・無
HP:E MP:D
腕力:D 体力:E 俊敏:D
知力:E 魔力:D 器用:A
それを見て私は器用がAにっていることに驚いた。
にしてもなんで器用がこんなにも高いのに他のステータスがこんなにも低いのだろうか?
それに種族に?マークがあるし…いやこれはクォーターだからこんな表記になっているのだろうか…ヨグはクォーターには見えないが…。
私気になります。
そんな感じで私がジロジロとヨグのステータスを観察していると申し訳なさそうに下を向きながら探索者のタグを摩る。
するとステータスの板に書いている文字が消されていき違う文字に置き換わっていく。
「これが僕のスキルだよ…滑稽な物でしょ?」
職業スキル
解析:Lv3 予想:Lv1
スキル
気配察知:Lv5 鍵開け:Lv7 罠解除:Lv9
逃走:Lv4 回避:Lv5 投擲:Lv2
ユニークスキル
不完全体:Lvー エーテルの掌握者:Lvー
「い、いやこれは別に…」
それを見て私の口からはそのような言葉が自然と出てきた。
だがヨグの反応はというと首を横に振りユニークスキルである『不完全体』と『エーテルの掌握者』を触る。
不完全体:Lvー 不完全なる物。全ステータスの上昇率・能力を大幅に抑制する。全スキルの効果・取得率・理解度を大幅に抑制する。
エーテルの掌握者:Lvー エーテルを理解し操作することができる。
そこには明らかにいらないスキルの効果があった。
ステータスの能力が抑制されているから元のステータスよりさらに低くなっているということは大体はFになるしスキルに至ってもどれだけ努力してLvを上げても効果が抑制されているから弱い。
総合で評価するとFランクの新人よりかは少し使えるぐらいの能力しかない。
「前のパーティではさ。一応斥候としての仕事はもらえたんだけど…本職には敵わないし」
そう言ってヨグはタグを懐にしまい文字を消す。
そしてまた下を向く。
こんな時私はどうすればいいのだろうか?
前にいるヨグは今落ち込んでいる。
だが私がどうこうできる問題ではないし…とりあえず私はヨグの手を自分の方へ引っ張る。
「落ち込むな…一緒に行こう?」
そう言ってまた歩き出す。
そうすること数秒後私たちの目の前にはある物がいた。
「スライム…か」
そうスライムだ。
ツルツルしたボディを持ちドロドロしていないタイプのスライムだ。
にしてもスライムを見るのも久しぶりだ…あの時以来だろうか?
あの頃から私も強くなったものだ。
そういう感じに私が腕を組み感情深くなりなんとなくうなづいていると隣にいたヨグが動く。
手には槍を持っておりそれを走った勢いでスライムの核へ突き貫く。
「ふぅ…レナさんもうちょっと警戒した方がいいですよ?敵の前なのですから」
そう言ってヨグは私の方を向く。
倒したスライムはというとまるで元からそこにいなかったかのように空気に溶けていきそして赤色の球体を残して見えなくなった。
「ん?あぁドロップしたようですね?ドロップしたのはスライムの核ですか…今日は運がいいみたいですね」
ダンジョンで倒した魔物は空気に溶け魔素となるらしくその魔素になる際に個体に定められた以上の魔素を持っていた場合は過剰な魔素を道具やその個体の素材に変換され残るとされているらしい。
これが「ドロップ」と呼ばれているダンジョンの仕組みだ。
「…じゃあ次も行こう」
私はそうヨグに呼びかけ歩き出した。
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