第2話
ある所に小さな村に住む貧しい夫婦がいました。
その夫婦は周りから信頼されており村で人気者でした。
そんな夫婦にある時一人の子供が生まれました。
その子供は夫の白い髪と母の紅い目を受け継いでいました。
夫婦は子供を愛しとある大きな街へと引っ越す事を決めました。
それからというもの夫は一生懸命に『狩人』の仕事を請け負い獲物を行商人へと売り、母は子供の世話と内職を夜遅くまで行いました。
そして子供が3歳になる時ようやく大きな街へと引っ越す事ができる資金ができたので夫婦は準備を行い少し遠くの街へと引っ越して行きました。
しかし街にもう少しで着くという時に盗賊に襲われ母は矢で撃ち抜かれ父は体中、矢だらけになりながらも子供を守り自分はもう長くないと悟り自分の子をスラム近くの門へと置きせめて自分の死に様を見せない様にと母を置き去りにしてしまった盗賊のいる所へと走り出しました。
月日は流れ夫婦の置いていった子供は死にかけていました。
最初の頃は父が置いていった袋の中にあった食材で食い詰めていましたが今では無くなりもう何十日も口にしていない。
流石に目の前が掠れて頭がクラクラする。
『ゴンッ』
一瞬何が起きたのか分からなかった。
少し時間が経って落ち着きようやく自分の状況を知った。
どうやら自分は倒れたらしい。
何のために私は生きているのだろうか?
そんな疑問が頭に浮かんだ。
父と母はどこかへいってしまった。
此処での生活は過酷そのものでいつ死んでもおかしくはない。
そこらにいる大人は子供が持ってきた物を奪って暮らし子供は街へと行き命懸けで物を盗ってくる。
そうしないと生きていけないからだ。
私は身体が小さいから物を盗んでから逃げれる可能性は低いそれどころかここから外に出れば悪い大人に捕まってしまう。
悪い大人は小さな子供に首輪をかけ何処かへ連れ去ってしまう。
その為隠れる場所が必要でようやく誰にも見つからない場所を作り出した。
外に出るのはとても怖い。
しかし外に出なければ何もする事ができない。
私は選択を間違ったのだろうか?
私はどうすればよかったのだろうか?
頼ればよかった?
私は…私は…私は…
そんな考えが頭を巡る。
そのまま私は意識を失った。
ふと意識が戻った感覚がした。
俺…?いや私…?
あれ?どっちだったっけ?
目を開けるとクラリと頭が混乱する。
あるはずもない記憶が頭の中にある。
何故自分はここにいるのだろうか?
死んだと思ったのだが?
ラノベ的に考えて神の仕業と言うやつだろうか?
死んだ時、神という存在にあったという記憶は無いのだが…
「…………まぁそんなのはどうでもいいか」
まずは生きるために行動を始めなくてはならない。
この子供の記憶にも書かれておる。
一人称が私と俺で分かりづらいな。
生きた感覚が一番多い『俺』を一人称として使っていこうと思う。
まぁとりあえず現状把握でもしてみるか。
まず俺は死んでこの少女も死んだ。
そして何故だか知らないがその死んだ少女の身体の中に俺の記憶がある。
いや死んだというのは少し違うか。
死にかけたが正しい。
んでここは名も知らぬスラム街で今いる場所は俺しか知らない秘密の場所。
少女の記憶を見てみてこの世界は地球では無い。
何故なら魔法という概念と魔物という地球には無かった物があるから。
「そして今とてもお腹が減っている!」
どうしたものか…
食べるものがないとまた倒れてしまうかもしれない。
街の外に出て何か探してくるか?
ちなみに街の門は東、西、南、北と四つある。
東はスラム街で門番が遊び呆けており門番という意味でを成してないというか殆どの時間居ない。
西はファンタジー系に良くある冒険者が通る門がある。
南は住民と商人が通る門がある。
北は少し特殊で王族や貴族が通るとされている警備が集中している門だ、まぁ俺に縁はないだろう。
いやそれとも街に転がっている食べられそうなゴミでも食べるか?
一応スラムの近くにはゴミが山積みになっているところがある。
スラムの人はそこから食べ物を探したり使える物を掘り出し物として市場に売り出したりする。
まぁ当然欲しい物を子供から取り上げる大人もそこに集中しているんだが。
一番食べるものが落ちている可能性がある所尚且つ近場とすると門の外の草原かその奥の森の中だろうか?
そこなら一応魔物も少ないし森も奥に行かなければ大丈夫だ。
最悪、雑草でも良い。
「さて、そうと決まれば早速行って飯を食うとしますか」
そう言いながら軽くなった腰を上げ自分の拠点の外へ出たのだった。
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