　学校に到着し、昇降口で靴を履き替えていると、いきなり宗ちゃんと出くわした。彼もちょうど登校してきたところだった。

　私は小さく「おはよ」とだけ声をかけて、すぐに教室へ向かった。

　昨日の今日で、あんなことがあって、それ以上、お話なんてできないよ。彼のことは好きだけど、今はムリ！

　教室に入ると、クラスメートの中で噂が広がっていた。

「セックスしてないのに妊娠した子がいるって」

「他校の生徒がキスしてくる痴漢に襲われて妊娠させられたって」

　と、いうものだった。

　一応、小学校と中学校の保健の授業で性教育は受けたので、赤ちゃんができる仕組みは知っている。みんなだって知っているはず。私たちだって、そういうことには興味津々だし。

（続く）

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい