第13話 セオリー通りお願いします!
「まあまあ、そんな顔せんといて。それに、
はあ、そう考えると
話が振り出しに戻ってしまったが、
「ありがとうございます。私の願いはちゃんと神様に届いているんですね。嬉しいです。ところで……」
「ん? 何?」
「どうしてそんな仲の悪い
「ああ。別に僕は
栗栖くんは僕の下で修行したいと言ってくれてるから、面倒見てるんです。口は悪いけど、真面目なええ子やで」
「でもあの<大映光新聞>の息子さんだなんて。デザインに興味があるようでしたけど、ちょっと納得しました」
「せやろ? あの子は才能に溢れてるからね。何でも好きにしたらええんやけど、末っ子で兄や姉の姿を見て育ってるから、経営のほうに行かなって自分でも思ってるみたいなんです」
「でも本来は、神様の眷属がお仕事ですよね?」
「正解や。僕らが人間の世界に身をひそめるのは、願いを叶える為でもあるし、人間の事を知るためでもある。
知った気になって、誰も思わん方向に行ってしまうと本末転倒からね。人間はすぐに流されてしまうから」
「お恥ずかしいです」
「いやいや、昔はそうでもなかったんやけど。いつ頃からか人は神頼みせんようになった。
信心深い人間は割とレアなんや。大切にせんと神力も弱ってしまうしね。お互い様なんよ、何事も」
ちょっと神っぽい事を言うと、
慣れてきたとはいえ、イケメンのウインクは破壊力が違う。私は照れてしまい、少しうつむいた。
何だか微妙な雰囲気になってしまったところに、リーフ亭の扉が開く。
「
栗栖が出勤してきたのだ。おかげで微妙な雰囲気が壊れてくれた。
微妙な雰囲気と思っていたのは私だけだろうけど、それでも第三者が入ってきてくれることで間が持った。
「こんにちは、栗栖くん。今日は神社で
「偶然?」
ジト目で栗栖が
「
さすが狼、鼻がいい栗栖はそう指摘した。
相変わらず
「
何も話していないのに、栗栖は察したのかいきなり頭を下げた。驚いた私は、両手と首をぶんぶん横に振る。
「ううん、何も! 何も迷惑はかかってないです! ちょっと勧誘というか、話を聞かれただけで! ホントに!!」
栗栖は顔を上げ、まだ素知らぬ顔をしている
「いや、
だから……」
栗栖がそこまで話すと、店に見知った男が入ってきた。
話題の人物、
「!!!!!?」
その場にいた全員が絶句する。
「ああ、先ほどは失礼しました。では、単刀直入に言いましょう。
「ちょお待てェ!!!」
どうやって移動したのか、すでに
「待てと言われても、正式な依頼は
「言った、言いました! けどな、すぐ来るんはセオリーに反してますやんか!!!」
「セオリー? そんなもの関係ないだろう。欲しいと思ったらすぐに動く。それは経営において大事なことだ。
お前のような狐にはそんな複雑なものは分からないだろうがな」
「またまたあ。そないないけず言わんといて。僕は経営も分かってますよ! お客さま!!!」
はん!と笑う
仕事だと気合いを入れてオーナーの顔に整えなおすと、座席に案内する。
「ホンマは夜の店が開いてる時間帯に来てほしいんですけどね。まあ、手順踏んでる以上は無下にはしません。
こっちに座って、オファー条件を伺いましょ。ただし、すでに
「そうですか。明日からでも来てほしいと思っていたのですが、仕方ないです」
オーナーの顔に戻った
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