第20話 思い出の場所を見渡して
「えーっと、ルカの部屋はどこだったけかな」
ノドカと別れた後、一人同じ場所をずっとグルグルと歩き回るアカリ。不思議そうに首をかしげながら、たくさんある部屋の扉を見てはまた、ウロウロと歩き回っていると、本を片付けに来た二人組の女性が近づいてくるのが見えて、その二人に近づいていく
「すみません。ルカの部屋ってどこにありました?」
「ルカちゃんの部屋?ならここら辺じゃなかったっけ?」
「そうですよね、私もそうだと思ってきたんですけど……」
と、三人でキョロキョロと辺りを見渡すが、ルカの部屋の扉はやはり見当たらず、困った顔で女性達が顔を見合わせる
「受付の人達は一緒じゃないの?」
「はい、ルカの部屋には何度も来たことあったから迷わないと思ったんですけど……」
「どこにいったのかしら……。本棚のことがあるから、動かさないとは思うけど……」
そう言うと三人の会話が止まり、また女性二人が困った顔で顔を見合わせる
「受付に話してきてくれる?私達もルカちゃんの部屋を探してみるから」
「分かりました。お願いします」
ペコリと頭を下げると、バタバタと足音をたてて走り去っていったアカリ。そのまま、走って階段を降りようと角を曲がった瞬間、誰かとぶつかり、少し痛そうに顔を押さえながら後ろによろけた
「ごめんなさい!……あれ、お父さん、なんで?」
ぶつかった相手を見るなり、驚いた顔をして近づくと、アカリを見たノドカがクスッと微笑んだ
「アカリ達が心配になってね。何かあった?」
「ルカの部屋が見当たらなくて……。今、受付のお姉さん達に連絡しようかなって……」
慌てた様子で言うアカリの言葉を聞いて、辺りを見渡しはじめたノドカ。二人の周辺は、あまり変化の無く、ルカの部屋も無さそうなその様子に、ちょっと戸惑いつつも、アカリにまたニコッと微笑んだ
「じゃあ、僕も探すよ。アカリは急いで連絡してきて」
「うん。行ってくるね」
返事をしながら頷くと、またバタバタと足音をたてて階段を降りていったアカリ。その後ろ姿を見届けたノドカが、ふぅ。と一つ深呼吸をすると、ノドカの前に一冊の本が現れた
「ルカちゃんの部屋を探してきて」
そう本に向かって言うと、バサバサとページの音をたてて、消えてしまった本。それを見て、ノドカが来た道を戻るように、くるりと振り向いた
「さてと、本が探している間に、ミツキを呼んで少し話をしないといけないかな。これはちょっと大変だな」
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