第二章 綿ぼこりの好み
第1話 新しい一員
新しい一員が増えました。
雇われ店長とは言え、店を構えてまだ数ヶ月ですが……常連さん達はいち早くその変化に気づいてくださいましたよ?
気づかないと言うのが無理ありますが。
「あーうーあーうー」
「か、可愛い!?」
「うーわー!? かっわいい!!」
正確には、親戚の子供を訳あって引き取ったことにしていますが、妖怪さん事情だと養子にしていただけたんです!!
主従関係についてはよくわかっていませんが。
『
と、ケサランパサランちゃんを引き取った以降……まだ来ていない颯太君にはそう言われました。
「店長さん! この子のお名前は??」
そして現在。
養子にすると決めた後に、オーナーの
「はい、
「「可愛い〜〜!!」」
「あーう??」
妖怪ちゃんの成長した姿は……頭の帽子のような毛の塊以外は普通の人間の女の子に見えます。
実は帽子も外れて、普通の人間のように振る舞えるんですが……颯太君が言うには、あやかしの本体だと言うので基本的に頭に装着させています。ベビー服にも似合う形なので違和感はあまりありません。
お客様達も、沙羅ちゃんの帽子部分を触ったらとろけるような表情になってくださいますし。
(名前の由来……安直っぽくなっちゃいましたけど。お店と連動した名前にしちゃったんですよね?)
お店の名前は『
「お待たせ致しました、ホットの水出しコーヒー。ふたつともロングサイズですね?」
「「ありがとうございます!!」」
テイクアウト用のカップに入れてから、僕はお客様達にお出しして代金を受け取りました。まだまだレジの機械が主流ですが、少しずつタブレット端末を利用したレジも増えてきました。このお店もそうです。
意外にも、扱いやすいんですよね??
お客様達がもう一度沙羅ちゃんの頭を撫でてから、お店を出て行かれました。そうして、今日はまだ賢也君が来ていないので僕と沙羅ちゃんだけになりました。
「さて、沙羅ちゃん」
「あう?」
「ご飯代わりのコーヒー豆。どれがいいですか??」
「あーうー!!」
赤ちゃんにミルク代わりにコーヒーだなんて、普通なら体に悪いんですが。
颯太君曰く、人間じゃないのと綿毛の塊の時に口にしたカス豆で成長したため……彼女の大事なご飯となったんです。
先に、ホットではない水出しコーヒーの一部を、赤ちゃん用のストロー付きコップに入れて飲ませてあげましたとも。
コーヒーを飲む時の表情は、とても可愛らしく……僕もメロメロになってしまいます!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます