第3話 ケサランパサラン②
綺麗にカスを食べ終えたケサランパサラン君? ちゃん?? は……少しだけ、大きくなりました!!?
僕の手のひらくらいのサイズが……みるみるうちに、瓶の横幅くらいに?? さらに、綿毛の下から……頭と手足?? どういう仕組みなのでしょう??
「…………たまげたわ」
さすがに、
そうこうしているうちに、ケサランパサラン君? ちゃん?? はさらに大きくなっていくので、僕は慌てて瓶の中から出してあげて、カウンターの上に乗せてあげました。
むくむくと大きくなっていくにつれ、形は赤ちゃんくらいの大きさ。体つきも人間の……多分女の子でしょうか?? 男の子の印はないので、裸の一歳児に見える大きさで髪は綺麗なコーヒー色の艶々したロングヘアもありました。
ただ、頭部はあのもふっとした綿毛が帽子のように残っています。くるっと、その子は僕に振り返って……コーヒー色の綺麗な瞳で僕を捉えると、フニャッとした笑顔を見せてくださいました!?
「あーうー!」
声も可愛らしい!!
赤ちゃんの見た目通りだからか、言葉は話せていないようですが可愛い過ぎますよ!!
賢也君はさらにぽかーんとしていましたが、僕はすぐに自分が来ていた夏用のカーディガンを脱いで、その子をとりあえず包みました。夏とは言え、店内はエアコンで涼しいですし、素っ裸なので風邪を引いたら大変です!!
「よーしよし。君は女の子だったんですね??」
わけあって、今は親兄弟がいない僕ですが子供は大好きです!!
お付き合いしてきた女性と結婚……も考えてこなかったわけではありませんが、長野に来た今は独り身です。
カーディガンでしっかり包んでから抱っこすれば、ケサランパサランちゃんは嬉しかったのかずっと笑顔。
ゆらゆらと軽く揺すってやれば、キャッキャと声を上げてくださいました。
「あ〜……うん、まあ」
僕があやしていると、賢也君は吸おうとしていた煙草を箱に戻しました。
「とりあえず……
「へ?? 養育しようかと?」
「普通の人間とちゃうんやで!?」
至極真っ当なことを告げたつもりが、冗談じゃない風に言われてしまいました。……たしかに、この子は人間じゃないのは今見ましたけれど……けど、だからと言って警察に保護者届けを出しても意味がないのは賢也君も見ていましたし?
「おやおや〜? あやかしが成長する姿を見ても、動じない人間がいるとは」
ベルも何も鳴っていないのに、いつのまにかお客様がいらっしゃいましたが。
そのお客様は、中学生くらいの男の子で和服一式を身につけていました。
「……誰や、坊主」
「賢也君、お客様ですよ??」
「中学生くらいのガキが、こんな時間に来るか??」
「その通り。僕はその子同様に人間じゃないよ? お兄さん達」
そう言って、にっこり微笑んだ彼は……目が笑っていませんでした。
「……僕は、座敷童子ってあやかし。妖怪だよ??」
またもや、人間でないお客様がいらっしゃったようです。
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