『チョコレートの隠し味。』

日向理

Episode.1


「あ?バレンタイン?」


  「うん、バレンタイン」

  「沙智は何かすんの?」


「ん?」


「わたしはねぇいつも、

 自分が食べたいチョコ買って食べてる」


「でも去年は静華たちと集まって、

 誰のチョコが一番美味いか競ってた 笑」


「・・・」


「あ!そっか!」

「そん時恵告ってコウくんと

 付き合い出したんだよね!」


  「そっ」


「今時リアルで告るなんて猛者、

 もう絶滅してると思ったもん」


  「文字だけとか声だけって苦手なんだよね」


「一年は持ったのかぁ」


  「んー、まぁ」


「じゃあ今年は一周年記念のお祝いとかすんの?」


  「コウ、そういうイベント事嫌いだからね」

  「単に面倒臭いだけなんだと思うけど」


「ふたりでどっか行ったりすんの?」


  「うん、映画観に行く予定」



「いいなぁ~」

「恋愛映画?」


  「ううん、アニメ」


「えっ (;·∀·)」

「少女マンガ原作とか…?」



  「ううん、『週刊少年系』のバトルもん」


「えーー、私そんなバレンタインヤダァー!」


  「でも『観客動員数2,000万人突破!』って

   感じで、結構話題になってるやつなんだって」


「でもそれってヲタと配給会社が

 何度も足運んで数盛ってんでしょ?」

「じゃないと日本の16%が

 ヲタって事になっちゃうし」


  「コウ、少年マンガ大好物だからね」


「コウレベルでもアニメ映画観に行くんだ」


  「ねぇ、沙智」


「ん?」


  「チョコって毎年あげなきゃいけないのかな」


「んー、どうなんだろ…」


「私ん中ではバレンタインのチョコは

 告る際のワイロだと思ってるから、

 付き合ってる時はあげなくていいんじゃない?」


  「そかぁ、去年のアレは賄賂だったのかぁ」


「ヨーロッパとかベルギーのチョコって高いけど、

 美味いんだよねぇ♪」

 


      「ありがと、他の人にも聞いてくる」



「ほーい」


「ああ~トリュフもいいし

 マカロンとかもいいなぁ~」

「今年は何贈ろう、自分に」

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