第2話 初期設定とチュートリアル


 意識が戻り、目を開けるとそこは、グリッド線が張り巡らされた白い空間だった。


「こ……ここは……?」


 僕は不思議に思い、周りを見渡した。真正面には大きい白い机が、ポツンと置かれている。


《ご購入頂きありがとうございます。エタニティドリームワールドRe:makeの世界へよこうそ! 私はみなさんの最初のサポートをさせて頂く、AIでございます》


「うわっ! びっくりしたぁ」


 僕は思わず声が出てしまった。その声は携帯にあるTIRIのような女性の声だった。


《お客様情報をインプットしています。もうしばらくお待ちください》


 TIRIのような女性の声はそういうと、真っ白に光りだした。


「うわっ、眩しっ」


 僕はあまりの眩しさに目を背ける。


《インプット完了。事前登録のシリアルコードがある方は右下の空欄にシリアルコードを入力して下さい》


 TIRIのような女性がそう言うと、僕の前に黒いキーボードが現れた。


『EDW -1052167』


 事前登録のシリアルコードを入力した。


《次は、お客様のプレイヤーネームを入力して下さい。名前は後から変更出来ません。》



「んーー、、お! じゃあ前と同じ『TOWA』にしようかな」


 入力を終え、次へを押す。


《次の職業から下級職を1つ選んでください。職業は後から変更可能です。また、リメイクに伴い各職業に最高職が追加されております。以下の通りです。》


下級職   中級職   上級職

ランサー、ドラグーン、ハイドラグーン

最高職 竜槍騎士 【ドラグーンナイト】


ナイト、 パラディン、ソードマスター 

最高職 重装騎士 【ファランクス】


アーチャー、スナイパー、レンジャー 

最高職 幻影狩人 【ファントムハンター】


メイジ、ウィザード、ハイウィザード 

最高職 黒魔導師 【ブラックウィザード】


クレリック 、ビショップ、プリースト 

最高職 魔導賢者 【マジックセイジ】


ファイター、ウォリアー、ストライカー

最高職 打拳闘士 【グラディエーター】


「えー! 最高職とか追加されてるの!? じゃあ特殊職業はどうなるの!?」


 特殊職業とは、各職業の上級職を解放したプレイヤーのみに許される特別な職業である。上級職の状態で特別な『アイテム』や、条件を達成する事で解放される特殊な職業である。


《こちらは、特殊職業一覧です》

1つの職業の上級職以降に特殊なアイテムもしくは特殊なスキル(条件)で進化できる。


ソードマスター+ルーンの石=魔石剣士(ルーンナイト)


アークドラグーン+モンスター召喚書(証)=乗竜(獣)騎士(モンスターライダー)


レンジャー+3種類以上の精霊契約=精霊弓士(エレメンタルアーチャー)


ハイウィザード+全属性の中級以上の魔法を取得=混沌術師(カオスウィザード)


プリースト+裁きの書(イベクエ配信)=断罪執行人(エクセキューター)


ストライカー+難易度7以上のモンスター5種類討伐=覇王闘士(オーバーロード)


 なんだか強そうだ。条件の一つに、配信されるクエストのクリアが必要なのがある。そう簡単には倒さないんだろうな。まあ、僕としてはその方がもえるけどね!


 各職業はレベル1からのスタートし、職業毎にレベルを引き継ぐ事になる。職業はいつでも転職可能なのだ。

 

 下級職から、中級職などに上がることを【クラスアップ】といい、職業をクラスアップするには、各それぞれに条件があり、条件をクリアしていればいつでもクラスアップ可能。

 

 基本的にアクティブスキルとパッシブスキルは、全て引き継ぐ事ができ、別の職業でも使用は可能ではあるが、パッシブスキルは、発動条件があるのが多いので発動しないスキルが多い。

 

 転職すると、レベル1からになるので全部解放しようとするとかなり大変である。


 まあ、開放した時の達成感や、強くなっている、と実感出来るのが気持ちいいのだが…


《条件は少し変わっている部分もありますが特殊職業はあります》


「あ、あるんだ、それは良かった。普通に僕の質問に答えてくれるのか、今のAIって凄いな。」


 ここは、前と同じナイトにしようかな……。僕は画面を操作しナイトを選択する。


《設定は以上となります。プレイヤーネーム【TOWA】のバックアップを行います。しばらくお待ち下さい》


「え? もう終わり!? 髪型とか身長とか弄れないの!?」


 やはりゲームの世界に行けるのであれば、自分の容姿は変えてみたいものだ。せめて身長を伸ばして、高校生くらいには見られたかったな……。

 僕は147cmしかないので155cmは欲しかった…


《バックアップ完了しました。こちらをお受け取りください》


 AI音声が終了すると同時に、目の前の白い机に黒い巻物のような物が落ちてきた。大きさは小学生が使う筆箱くらいだろうか。


「なんだろう? この巻物の形をした黒い物体は……?」


 僕は突然出てきた、巻物の形をした物を手に取る。


《事前登録者限定、冒険者応援パックをお送りします。》


 すると、巻物のような物が横に伸び、次々と文字が現れる。


《【新人冒険者応援パック】を獲得しました。ギフトボックスからお受け取りください》


 左上に僕の名前があり、ステータスが表示されていた。


ステータス

名前 TOWAレベル 1

HP 500

MP 50

物攻 50

物防 50

魔攻 50

魔防 50

素早さ 25

次のレベルまであと100


装備

武器 なし

頭 なし

体 なし

脚 なし

装飾品 なし


「おぉ! これが僕のステータスか! ナイトなのに物攻と魔攻が一緒なのか……まあ装備でなんとかなるか」


《それでは、プレイに必要な説明をします。まず、各プレイヤーには『マイストレージ』と呼ばれるものがあります。

 

そちらにアイテムをしまう事が出来ます。アイテムは『ゲームパッド』の機能、『カード化』という項目がありますので、そちらをタッチして『カード化』したい『アイテム』や『装備品』などに、近づけると『カード化』して小さくなります。 


『カード化』した『カード』を『ゲームパッド』の上部分に差し込むと、『マイストレージ』に収納されます。逆に『実体化』させ取り出したい場合は、『メニュー』の『マイストレージ』から選択し『アイテムを取り出す』を選択して、取り出したい『アイテム』をタッチしたまま、タッチしたまま上にスライドする事で実体化します》


 現実では絶対に出来ないような事が、この世界で出来る事となると、本当にゲームの世界に来たんだなと実感する。


《そちらにある黒い巻物のようなものは、『ゲームパッド』といいます。『マイストレージ』の中に入れたままでも、『ゲームパッド起動』と言ってもらえれば出てきます。


『メニュー』の開き方は上の方に白いボタンと黒のボタンがあります。

 

 白いボタンを押すと横に伸び『ゲームパッド』が開きます。ステータスの確認や装備の変更、スキルポイントの振り分けや『アイテム』をしまったり取り出す事が可能です。

 

 黒いボタンを押すと収縮し、最初の形状に戻ります。『ゲームパッド』はいくつか種類がございますので自分のお気に入りの『ゲームパッド』を購入して自分好みにカスタマイズする事も出来ます。


 『ゲームパッド』は『マイストレージ』に収納しておく事をお勧めします。》


「なるほど、それは便利な機能だなぁ。慣れるまでは時間かかりそうだけど」


《最後となります。まずはこちらをお受け取りください。》


 すると、白いカードが落ちてきた。そのカードには僕の顔写真と所持金10000D、所持ジュエル0と書いてあり、ICチップもある。

 

 大きさはクレジットカードくらいで少し重みがあり硬い。


《そちらはとても大切な物になります。そのカードは冒険者の方に必須な『冒険者カード』でございます。それは身分証明書にもなり、買い物もそちらのカードでできます。そちらは偽造できません》


「へぇ、これが『冒険者カード』かぁ」


 D《ドリー》って言うのがこのゲームのお金の単位で、ジュエルはこのゲームの課金アイテムのようなものだ。

 

 ドリーはジュエルに換金する事は出来ないが、ジュエルをドリーに換金する事は出来るのだ。


《以上となりますが、主人公達のスタート地点は以前とは変わり、今回は新人プレイヤーの方々のために、新しく作られた大陸から始まります。あちらの世界に行ったら、愛嬌あるマスコットキャラクターが優しく案内してくれます。それではエタニティドリームワールドの世界へお送り致します。貴方様の活躍で世界をお救いください。では中間友輪さん良い旅を》


「おぉ、AIの出番は終ったのか。今回から導入された新大陸からスタートかぁ。色々教えてくれてありがとう!」


 意味はないだろうけど、僕はAIにお礼を言った。

何故、フルネームを知っていたかは気になるが、今は気にしないでおこう。


 僕の全身を纏うように白い光が包みこんだ……!

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