転生ですか?面倒なので能力は召喚対応でお願いします。

飛友翔(ヒヨイ)

第一章第一部 始めから順調

第1話


「うわっおう!」

 (やばかったわ)いや、聞いてたよ。ここに入ったら直ぐに動けって言われてたもの。脳内シュミレーションはバッチリだったのに意識は飛んだな。


 でも流れに任せればいけちゃうよ。訓練済みなんだぜ、ならと咄嗟に[空間断絶]を展開し、目の前に居るオークを首ちょんばにした。


・・・解ってても(超無理ゲーなんだな)現代世界でのほほんと生きてたのに、ゲームサバか・・体を跳ね起こし、近くで自分の仲間に覆い被さっているオークに突撃しなきゃだ。


 いや、ここからは作業と呼べるだろう。流れもここまでだから、この先は自分次第か。


 この突撃に気ずき顔をこちらに向けるオーク、けん制らしい威嚇の動きをして来る。威嚇?こっちは動いて無きゃ死ぬし、躊躇なくそいつの右肩と首付近に自前の剣を叩き込む。


 ぐぐぅぐぅぶりゅっと、全く現代で味わった事もない感触に嗚咽が湧き上がるが、この世界での経験値が上書きして今更感で鎮められた。直ぐに馴染まないとは聞いていたからな。


 今の一撃は致命傷な筈だ、それならと先の視界に映った最後の標的に突貫し今一度剣を振るう。オゴオゥと鈍い音が木霊する、そんな脆弱な棒のような相手の武器にさっきまでは翻弄されたのだ。

ましては、この場まで連れ立っていた仲間達が2人と減らされている


 オークは今の攻撃で踏鞴を踏み半場よろけた、そこへ一気に身を屈ませた姿勢から相手の右足へと蹴手繰りを入れる。


 後は簡単なお仕事になるだろう、オークへの止めとばかりに仲間が剣を突き刺す。俺の救援を受けて直ぐに立ち上がった仲間を見て、日頃の連携が生かされると信じていたからだ。 


 これでも呆ける訳にはいかない場所だ、直ぐに周りを視界と[空間範囲探知]で把握する。現状これ以上の危機は無さそう、この判断で間違いは無いだろう。


 ならばと先ずは素早くこの場からの離脱だ。ここで仲間達を一緒の扱いにはしたくないが、現実には血塗れのオークの骸と一緒に転がっている。

 

 この場で生き残った2人の仲間は、この後の事後処理など考えられる余裕は無さそうだ。俺はこのチームのリーダーである、今は感慨など持つ時間は無いから必要な事を優先する。


 ここで素早く[ストレージ]へと放り込んでいく。その場に転がっている骸の全てを・・。


 そんな行動を始めて見た仲間達は、驚愕な表情でこちらを凝視していた。何が起こっていると不安を抱かせているが、今の状況ではその説明をしている暇は無い。


「先ずは、風上へ向かって臭いを誤魔化す。ある程度まで迂回し、そこから帰還を急ぐぞ」


 まだまだ安堵出来る要素がない、ここで巻き散らした血臭を嗅ぎつけて来る奴等は絶対に居る。その奴等が目的の糧が無いと理解するまでは、とてもじゃないが安心出来ない。


 俺の知識じゃ風下に向かったら棺桶が待っている、そんな程度だから。


 最優先の撤退をしながら今一度脅威の把握と、忘れ物?が無いかの確認をする。そこから小走りと[空間範囲探知]で脅威を把握しつつ、迅速を優先して離脱を開始した。

 時おり感知に引っ掛かる小動物を、拾った小石で追い払い撒き餌に成ってねと心の中で祈っておく。


 (ふうぅ)息漏れさえして無さそうな溜め息を、心の中ついている。(器用だな俺!)今までの展開は良い形の選択が出来た、この後の展開もしっかり予想されていて、そのギルドや死んだ仲間の家族への報告とかだ。


 まあ、予測ってなんだよって話だけど、誰彼で未来なんて大きく変わる訳で、こんな状況はこんな感じ?今までの割合がこれ位かな?レベルさ。


 あれだよ、転生で子供からとか痴態がやばいし、召還者は義務やデメリットが過多でしょ?中途半端で妥協したのに、いきなり死にかけたわ。


 それでもここからはかなりのメリットがある。今の俺はイケメンの貴族の息子、3男ではあるが自由自適な生活が待ってる。たぶん。メイビーな何かな。

 自適って放置?ちょっと不安に成ったぞ。だって・・外に稼ぎに出る冒険者なんだよ。考えれば考えただけ、ニート感満載じゃないか?冒険者は普通に日雇いだもの。要確認だな。




・・・・・




 変な考えも混雑のまま中々頑張りましたよ、体感だけれど2時間以上の移動を続け森を抜ける事が出来た。あの場の血の匂いで何が来るか解らなかったし、ほんの少しの安全策が風上しか思いつかなかったしな。


 ここからなら街の外壁・・呼び難い程度の簡易な壁が作られた所。魔物の突貫で農地の野菜が荒らされても困るからな。


 その付近に成れば魔力濃度が薄くなり、弱い魔物か獣の分布の区域に代わるのだ。人間の魔力を求める魔獣はいない、魔物は肉食だから弱い人間を狩ったりするが。人間も魔物の肉を欲するのでお互い様?嫌な共存かもしれない。


 ひと息つきながら、今回の状況報告の討ち合わせや休憩をする積りだ。後はついでと言ってはなんだが、俺が持っていなかった[ストレージ]空間魔法の説明もしないといけない。


 これも珍しいが所持者は稀にはいるらしいから。


(大丈夫だよ、其れなりにいるよー)と、良く解らない女神らしき者が宣っていた。しかも超軽い感じだったから信用したらダメかも知れない。ダメでダメ元だな。


 その[ストレージ]は、止むを得ずでも見せてしまったから、ここは極秘と言明を怠らずだが他には特別気に掛ける内容は無い、今回の依頼は調査であり森の把握だからだ。


 この先の俺の生存意義を確立する為には、真摯で誠実な態度をしっかりと取らないとならないが。


「・・・ってな所だ。まあ、頭をしこたま打ち付けたからな。今度はしっかり保護対策を優先する」


 いい感じの適当なブッこきだけど、女神様の特典なんて話は出来ないからな。あの時の現場をみんなが注目していたかは定かじゃないが、オークから攻撃を受け盛大にスッ転んでいるし。


 そこで強烈に頭を打って脳震盪に留まらずご臨終・・前の体の持ち主は他界に至った訳さ。さよなら人生、こんにちは俺生。そう、こっからなら続けられるよって紹介されたのです。ワロハかよ!突っ込まなかったけど。


 俺は突っ込み担当じゃないし、突っ込んだら負けそうだからしーしーだぜ。それは出来る人に任せる訳よ、俺は魂でしか無かったからな。


 ほら、手っぽいのが見えてはいたけど、意志は届いて無さそうだったもの。まあまあ、うちのパーティの者達にはそこそこの納得もして貰ったので、ここの休憩を終わりにして移動を開始する。


 ◆


※レマイア領中央冒険者ギルド


 夕方にはまだ早い時間に、俺達3人は冒険者ギルドへと駆けこんだ。ここでの報告はチームの被害状況も含まれる。その中の依頼達成などは些細な事で、失った仲間2人の遺体見分が最重要用案件だ。


 街の入口の外壁で衛兵隊が見分を済ましているから、その調書の複写がされた報告書を確認して貰う形だ。


 このチームが依頼を受けで何人で外に出たのか?その人数や何処の誰などを今一度再確認される。

まあ、オークの強烈な打撃での殺傷と見分されているので、俺達が不審な扱いに置かれる事はほぼ無い。


 それでも意思の疎通が無ければ、ちょっとした事で大きな問題になるからな。それに、まだまだ難関が控えている。こんな状況になる事は覚悟した冒険職ではあるが、当人ほど覚悟を持った家族は聞いた事が無い。今一度念押しとも取れる確認を終えて、次に必要な事柄へと移行する。


 まず、絶対に必要な遺体を今一度受け取る。ただの平民で身寄りも無ければ、ギルドにお任せ処理も有りだが。俺達は仲間の身内も懇意にしているので、そちらへ届け判断を仰ぐ形だろう。その時には今回の報酬や換金した金も全て渡す。


 これは普通の対応とは違うが、独り立ち未満な俺達はいざの時に家族に頼れるからだ。それでも冒険者として2年も活動したのだから、幾らかの貯えが出来て無いとは言えないしな。


「セブレス」急に俺の名を呼ぶ声に意識を戻しながらそちらに顔を向けると、露出度もそこまでか?そんなメリハリ女がこちらを凝視していた。最近ブリですチャオ。


 手や肩に太もも等々の素肌を晒し、野性味溢れる豊満な胸・・オッホン、2つ年上なのに可愛さ満点・・何か間違ってないかのCランクチームのリーダーであるメイサリスがそこに立っていた。はっきり言おう、この女・・彼女が最近の俺のマイブームなのだよ。


 厳密に言うのであれば、俺の体の以前の持ち主が!っと、補足も出来るけど今の俺にもメッチャ好みなんだよね。そんな彼女と少しだけ話をすれば、ギルドに顔を出したら俺達の話題に驚いたそうだ。特に俺への心配で夜も眠れず・・ちょっと妄想を盛っちまったな。まだ夜になってないし。


 ここは妄想ついでだ、その内に俺の体でお返ししよう。こっちじゃまだ童貞だけど、現世じゃ少ない経験もあるし、向うの過激な知識なら誇れるぜ。


 それにいいモン持って・・たよ?何故か知らないが俺のモノが随分と大きいのは、女神様の特典なの?これがユニークスキルならびっくりだわ。


 あれれー?魂は抜け出たのに、前の知識や記憶が残ってるのっておかしくない?いいや、適当に聞き流したけど必要だって話だったわ。そうじゃないと、アルアルな記憶喪失設定をしないといけなくなる。


 それは面倒でしょ?知り合いなのに知らない振りって何処かでバレるよね?えっちの知識は覚えてますって繁殖行動が重いもの。区別に困るじゃない?シルシルミチルじゃ無いんだから。


 その記憶を残して置けば、賢さスクランブルで神童扱いもされるかも?って言ってた神がいたけどもう大人ですぅ。今更喜べません。


 嫌いな大人に成りたくないとか言うキャラでも無いから、汚い大人に進んでなるよ。そこにお金大好きをぶっ込む訳さ。


 うへへへとか笑いながらサナーに抱き付こう。彼女の有効射程距離は1M半は合ったか?何も届かないな。大人の事情を伸ばしたら切られたりして?伸ばすのは知力と能力だけでいい。


 受付嬢のラーレルさんの目が哀れんでいる・・俺か俺の置かれた状況か?妄想が顔に出ていたかの確認は無理だよ。


 すばりこの状況で「何考えてんの!」殴られそうだからな。だが不思議に対応が随分早くないか?ギルドから依頼を受けた俺達は森に入ったが、その依頼を昨日に受けて森に入ったのは今朝がただぞ。


 その結果が依頼の中で、予想外のパーティ壊滅に近かったけど、確認相手に接敵の可能性も含まれた依頼だ。


 まあ相手がズル賢かったせいで、風上に誘い込まれて挟み打ちなんて考えも及ばなかった。記憶中を推移したら、今の俺でも窮地に立ちそうだ・・無いな。来る前の訓練が厳しくて、こんな今でも[空間範囲探知]は、バリバリに使ってるからな。


 周りに危機感を忘れずに敵認定は後回しで、自分の能力と練度の底上げをさせられている。その修行をしてくれた神はどこに向いた武道家なのだろうか?誰敵の仮想は知りたくない。


 そんなの(もの?)が居るのが解ったら、いつでも殺されそうじゃない?神敵って何なの?はい忘れた。


 いいのかって?いいのだよ。聞いて無いもん。とにかく闇雲に人生を突き進んで、善幸稼ぎをするのが、俺に必要なのだから。


 頑張るマン。エロはお好きでいいらしい。人生だから当たり前か。だが漢らしく。

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