第2話

※ フィクションです。

私以外の若人がいない時点で御察なのかもしれない。

また1人別部署のうちの若者が辞めるという。これで私が1番若くなるという訳だ。

なんてこった。

いい会社には人が定着するが、どうやら他の事務員は1年で辞めているようだ。


来月で入社1年となる。いろんな人間が入っては出てしているのだが、その中でも強烈だった人間がいた。

時は3月。春風と共に彼はやってきた。

20代前半。資格持ち。腕は抜群に良い。

そうなるとだ。

必然的に周囲の人間からも期待があがる。

若いから長く働いてくれるだろう。

腕も良いから、会社の中心となるだろう。

私だって年齢が近いから、馬鹿にされず話すことができるだろうと期待をした。別に好いた腫れたの問題ではなく大体歳下は「〜知らないでしょ」から始まり、答えても「細かいことは知らないでしょ。これだから私たちと違う」で終わる。最初は楽しめたものの11ヶ月に続けば辟易もする。そんなに偉いものなのか。

そうか。それならやはり黙るしかない。知らないことを知れて楽しかったんだけど、知っていることを否定されればもうきつい。

私が好きなのは80年代ロボ、90年代の音楽、ホラーカンフー映画、漫画や小説、ゲームは年代幅広く触れるのだが、コアな話するとむしろ同年代がついてこれないので語り方も忘れかけている。語るはもっぱら青い鳥に運んでいってもらう。他の人の好き嫌いを聞くのも見るのは好きだ。語りは健康にいい。こちらも触発される。リアルで嫌いを向けられるのはごめんだが。話がずれてきた。戻そう。

歳下もそうだが、兎角独身は肩身が狭い世の中である。独身がいるだけでも、気は紛れるし、追及も分割される。

しかし、彼は既婚であり、夢は儚く崩れた。

そして、他の希望も粉砕された。

来ないのである。来ないのだ。

入社日は誰よりも早く来た彼が来ない。

誰しも慌てた。家に電話を掛けると、出た。

なんと寝坊である。

それから、彼の寝坊連日歴は記録を更新し、なんと3ヶ月に渡り、達成された。

これには社長も困り、彼を捕まえる作戦が始まった。

待ち伏せ作戦→最初は成功。後に逃げられる。

連日電話→同上。掛からなくなる。

家まで行く。→最初は成功。なんと家にまでいなくなった。

無事に確保された彼はなんと朝起きれないことが発覚。

入社日はオールで過ごしたらしい。

それはそれですごい。

それですごいのは会社でベッドを買ったのだ。折り畳みのふかふかなベッドを。

社宅のシャワーを使い、会社で寝泊まりする事になった彼。しかし、豪雨が降った。彼は豪雨で寝れないといい、家へ戻された。

後は御察の通り。

奥さんに掛ける。→別居中。協力的であったが、後に匿うようになる。

実家→協力的であった。

実家の協力もあり、捕まったが、また逃走。

そのまま蒸発してしまったのだ。

ベッド買った時点で相当なプレッシャーだったのではないだろうか。

今はそのベッドも倉庫に眠る。役目を果たすことのない子が哀れでもあり、邪魔でもあり。誰か持って帰ってくれ。

そろそろ太陽に干さないと呪いを振り撒きそうである。布団の中で蠱毒とか。

やめてくれよ、辞めた人の呪いで会社が破滅とか私がいる時は。

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