三銃士

「kanako?」

ノアはハッと僕の顔を見た

「そう、僕の家にも写真が飾ってあるよ、叔母の哉子さん」

ノアは写真を見ているのかただ俯いているのか頭を下げている

「この真ん中の二人は恐らく俺たちの両親だ」

僕ももう一度写真を見る、赤子が僕たちなのかは分からないが、哉子さんはベッドに横たわり赤子を抱いている。もう一人赤毛の外国の人が片方の赤子を抱き。両脇にはまた男性の別の外国の人と僕の父親信義が立っている。

「ジョゼフがこの写真を隠し持っててな、問い詰めたが何も言わない。だが俺はもう一人兄弟がいると確信したんだ」

どのへんでそう確信したのか分からず唸っているとノアはまじまじと僕の顔を覗き込んだ

「同じ顔をしている」

「僕には分からないよ」

ジョゼフがそっと写真を拾い上げ、胸内ポケットにしまった。

「この写真を撮ったのは私です、kanako様はnobuyosi様の妹でした」

「よく分からないんだけど、哉子さんが僕のお母さんって事?」

「ジョゼフちょっとは話してくれないか」

ジョゼフは俯き気味にかぶりを振る

「お父上はノースの大学生でした、この写真は卒業後に撮られたものです」

「父親って誰だ、本当の父親は誰なんだ」

ジョゼフは完全に俯いてしまい、困った顔をしている

「僕は今のお父さんで良いよ、例え本当の父親じゃ無くても今まで育ててくれたのは信義さんだよ」

ノアは大きく目を見開き、潤んだ目で僕を見つめた、少し鼻が赤くなっている。そう言えばノアのお父さんは最低な奴だった、今必死で本当の父親が知りたいのだろう。

「nobuto様、私は無理強いしません、ですが坊ちゃんの為その腕を貸しては頂けませんか」

ジョゼフが僕の足元を撫でた。平謝りの様な動きをしている、多分土下座でもしたいのだろう、必死に老人であることをアピールしている

「下衆の集まり、さながら三銃士だ」

ノアが少しニヤリと笑いジョゼフの背中を叩いた

「あ、ごめん、さんじゅーしってなに?」

「お前は本を読まないのか」

ノアはそう言うと左手につけていた指輪をいじった、すると小さな刃が現れた

「ともかくお前はもう俺たちの仲間だ」

そう言って僕を縛っていたものを切ってゆく、どうやらビニール紐で縛られて居たらしい。

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