喜々再会
高校生の頃だった、僕は綺麗な女性に出会い、突然眠らされ、どこかの民家に居た。腕は後ろ向きに縛れ足は胡坐の状態で縛られている。
「起きたか、騒ぐなよ」
隣の部屋から先ほどの少女が見えた、顔が半分ほど見えていたがこちらに向かってくる時もう半分が見えたが、スッピンだった、中性的な顔をしている。手に持ったコットンで残り半分を拭きつつ頭のカツラを脱いだ、赤毛だった、僕と同じだ。
「ジョゼフ」
「yeah」
後ろから僕より体の小さな老人が現れ、僕の口につけられた器具を外した。
「俺はノアだ、アンタの弟だ、さっきも言ったな」
「弟って、僕は一人っ子だから、人違いだよ!」
「この顔を見ても分からんか」
「えっと、女装癖のお兄さん」
ジョゼフと呼ばれた男が耳元に手を当てた
「お二人とも同じお顔をされています」
そう言われまじまじ見てみるが、僕ってこんな顔だっけ?と首を傾げた、言われてみれば似てる気もするがどことなく違う気もする。ノアと呼ばれた人の隣にジョゼフという老人が鏡をもってきた、その鏡に僕の顔が映り、隣に立つノアと同じ顔をしていることに気づいた。
「あ!同じ顔してる!」
「お前は毎日鏡を見ないのか」
「そんなじっくり見ないよ~」
ジョゼフが小さく笑う
「あのー、ところでかなり手荒い歓迎のようですが」
「このまま俺たちとメキシコに行ってもらう」
「え!いやいや僕パスポート持ってないよ!」
「それはこちらにて用意いたしました」
ジョゼフが小さな袋から手帳を取り出して開いて見せてきた、中には伊東楓という女性の名前と写真が載っていた。
「いやこれ誰かのパスポートじゃん」
「偽造って奴だ、写真は俺の変装で撮った、これからお前もその女性になってもらう」
「いやいやなんで偽造で行くわけ?普通にいかないの?」
「nobuto様は剣術を嗜まれているとお聞きしています」
「日本刀はお父さんから習ったことあるけど、基本は剣道だよ、ってそれ関係あるの」
「これから俺の親父を殺しに行く、お前にも協力してもらう」
「え、あの。え、物理的に?」
ノアとジョゼフは顔を見合わせ、ジョゼフがスマホで何やらポチポチしている
「何と言ったか分からんが、ともかく来てもらう」
「え、え、あれ?無理です」
「ここに日本刀もございます」
ジョゼフが押し入れから麻布に包まれた長細いものを出してきた。
「通じない?無理です!」
「俺の親父は人の道から外れたeste malditoお前にも関係はある、俺の兄だろ」
「いえいえ!いきなりの兄弟登場からの流れではございません!」
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