第07話 魔法研究室

 リカード王子との面会を終えると、屋敷に戻ってきた。そのまますぐに、屋敷内にある魔法研究室へ向かう。


「わぁ、懐かしい!」

「……懐かしい?」


 結婚して実家を出る前の、懐かしい研究室だ。子供の頃の私は、ほとんどの時間をこの部屋で過ごしていたと思う。テンションが上って、思わず声に出してしまった。


 一緒に来ていたヘレンが、怪しむような目を私に向けてくる。今朝から、ちょっと疑われているようだ。危ない危ない。


 とりあえず、知らないふりを続ける。今は、研究室内の確認と整理するのが最優先だからね。


「今から、お部屋を片付けるのですか?」

「うん。そのつもり」


 そうだと答えた。するとヘレンが部屋の中を見渡してから、提案してくれる。


「何人か手伝いを呼びましょうか」


 部屋の中には大量の物が乱雑に置いてあって、一人で片付けるのには相当な時間が掛かってしまうだろう。


 つまり、この部屋は汚い。キレイにするために、助けを呼んだほうがいいと考えるのは当然だと思う。だけど。


「うーん。この部屋に置いてあるものは、ちょっと危ないからね。まず私達だけで、やってみましょう。私が指示するから、片付けを手伝ってくれるかしら、ヘレン?」

「はい。もちろん、手伝わせて下さい」

「じゃあ早速、取り掛かりましょう」


 ということで、研究室内の整理を始める。置いてあるものは懐かしいものばかり。けれど、今の時代じゃ最先端の道具なのよね。


 ただ、未来の環境を知っている私の求める性能には足りない。


 研究に用いる道具などを未来から持ち込むことが出来れば良かったのだけれども、時間戻しの究極魔法は記憶しか戻せない。


 しっかりと準備すれば、過去に色々な物を持ってくることも出来たかもしれない。でも、あの時の私は死期が迫ってきていて、準備する時間も足りなかった。なので、諦めるしかなかった。


 つまり、研究用の道具は一新する必要がある。一つ一つを、作り直していく必要があるということ。全部揃えるのに、かなりの時間が必要そうだ。


 けれど、悪いことばかりじゃない。せっかくなので、色々と新しいアイデアを組み込んで、新たな道具を作り直すことが出来る。


 それを考えると、すごくワクワクしてきた。


「ウフフフフ!」


 また、魔法の研究が出来る。いい機会なので、まず基本から時間を掛けてじっくり復習していきましょう。時間は、たっぷりあるのだから。

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