さくら姉ちゃんとおかいもの

 さくら姉ちゃんは小学校四年生。

 いつもしょうたくんにご本をよんでくれたりひらがなやカタカナをおしえてくれるやさしいお姉ちゃんです。


 しかもさくら姉ちゃんは見た目によらずとっても強いのです。

 公園で小学生がしょうたくんたちにいじわるをしても、姉ちゃんがみんなやっつけてくれます。

 しょうたくんはやさしくてお勉強が好きで強いさくら姉ちゃんが大好きです。


 そんな姉ちゃんもそろそろ思春期。心もからだも少しずつ大人に近づいてくるとても大切なお年ごろです。

 近ごろは急な体の変化にちょっぴりなやんでいるみたい。


「あ~あ。さすがにあきらめておかあさんと買いに行かなきゃダメかも」


 今日もネットで何かをしらべてはため息をついています。

 さくら姉ちゃんはパソコンにくわしくて、いつもお絵かきしたりわからないことがあるとネットにつないでしらべたりしているのです。


「ねえ、しょうたもおねえちゃまみたいになれる?」


 しょうたくんはよしつぐ兄ちゃんに訊きました。


「うん。最近はしょうたも急に成長したからね。そのうちさくらみたいに色々できるようになるんじゃないか?」


 兄ちゃんの返事を聞いてしょうたくんは安心しました。


 次の日。

 しょうたくんは今日も張り切ってようちえんにやって来ました。

 そして先生にご挨拶をすると、胸を張って言ったのです。


「あのね。しょうたもさいきんすごくせいちょうしたからね。おねえちゃまみたいにおかあさんとぶらじゃあかいにいくの」


「……しょうたくん、いくらなんでもそこは成長しないんじゃないかな」


「だって、つぐ兄ちゃんがいってたもん。しょうたさいきんきゅうにせいちょうしたから、そのうちさくら姉ちゃんみたいになるって」


「……う、うん。そうだね。でもまだぶらじゃあはいらないかな?」


 お返事に困った先生はチベットスナギツネのようなお顔になってしまいました。

 もちろんおかあさんは真っ白な灰になっています。


「しょうたくんがぶらじゃあかうなら、あおいもいっしょにかう!!」


 あおいちゃんのママもチベットスナギツネのようなお顔になってしまいました。

 しょうたくんとあおいちゃんは三匹のチベットスナギツネには目もくれず、とっても楽しそうにお教室に入っていきました。

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