第15話仲間

「いざっ!!」と、一歩踏み込みこもうとした時、覆面の方が何者かに押し倒されました。


よく見ると、それはヤンさん。


「──……ヤンさん、横取りとは趣味が悪いですよ?」


「…………」


『隣でドタバタやられちゃ寝てられん』と、言われました。

ヤンさんの部屋はお隣でしたか……


「──チッ!!何人仲間がいんだ!?」


腹面を被っているのでよく分かりませんが、焦っている事には間違いないでしょう。


まあ、ヤンさんが来たのでこの方はヤンさんに任せ、私はルイスさんの手当をしますか。


私がヤンさん達に背を向けると、ドンッ!!と大きな音がし、振り向くとヤンさんが倒れてました。


「──……全く、セプテム何ヘマしてんのよ?」


「……すまん、セクス。助かった」


見ると壁には大穴が開き、中々にセクシーな装いの方が、ヤンさんから覆面の方を奪還しておりました。

いや、それより……


──何ですか、あの胸!?あんなの牛でしか見たことありませんよ!!


後ろからルイスさんの「……うわ……気失わなくて良かった……」と言う声が聞こえました。


「ふふっ。今夜はここまで。お楽しみはまた今度ね」


と、ルイスさんにウィンクと共に艶やかな笑みを見せると、すぐに外へと飛び降りました。

その笑顔に、ルイスさんの顔が真っ赤です。


私はすぐにルーナに指示を出し、後を追ってもらいます。

ルーナが向かったのを確認し、ヤンさんの元へ。


──良かった。ヤンさんは、気を失っているだけの様です。

きっと、破られた壁の破片が頭に当たったのでしょう。


お次は顔を真っ赤にして、未だ惚けているルイスさんです。


「……撃たれましたか?」


私が問いかけると「かすり傷だよ」との返事が返ってきました。

しかし腹部を拝見すれば、かすり傷では無いことは一目瞭然。

出血量からして、臓器は無事の様ですね。


──不幸中の幸いとはこの事です。


「……す、すみません。この方は、私を庇って、こんな傷を……」


ゲルダさんが顔を真っ青にし、今にも泣きそうな顔でルイスさんに謝っております。


「大丈夫ですよ。命に別状は無いですし、銃弾ぐらい避けれないルイスさんも悪いのです」


「いや、それどんな超人!?──……っ痛……」


「ほら、大声を出すから傷口に響くんです。怪我人は大人しくしていて下さい」


ルイスさんを部屋へ運ぼうとした時、ドタドタドタドタ……とこちらに向かってくる足音が聞こえてきました。


──あぁ~、この足音は……


「マリー!!!ルイス!!!無事か!?」


やはりゴリさんでしたか……


ゴリさんは部屋のドアを勢いよく開けると、中の様子をぐるっと見渡し、すぐに状況を察しルイスさんの元へやって来ました。


「……大丈夫……じゃ、なそうだな。すぐに医者を手配しよう。──そっちは、どうだ!?」


「ヤンは、気を失ってるだけだよ-」


ゴリさんが声を掛けた方を見ると、ティムさんとシモーネさん、ジェムさんもおりました。

ジェムさんはヤンさんの様子を見て、この世の終わりかと言う顔をしておりましたが、気を失っているだけだと分かると、その場にへたり込んでしまいました。


とりあえずルイスさんの手当が先だと言うことで、ルイスさんはゴリさんに任して、私達は部屋の片付けに追われました。

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