第24話特訓の成果
私は、カマキリ男を縄でぐるぐる巻きにしてから、奴隷の方々の手当に入ります。
ジェムさんの方を見ると、刺客の方と剣を交えながら何やら話しているようですが、話してる暇があるなら早く仕留めて下さい。
「貴方、中々の腕ね。──ねぇ、私達の仲間に入らない?」
ちょっと、勧誘はやめて貰えますか?
「ならない。俺はここが気に入っている」
ゴリさんが聞いたら、涙腺崩壊です。
「……そう、残念。貴方、結構好みだったから殺すのは惜しいと思ったのに」
好みの男性だったら手当り次第勧誘するんですかね?
「お前は俺の好みではないし、殺されるつもりもない」
「こんないい女が好みじゃないって言うの!?あんたの目は節穴なの!?」
「……イヤ、お前一度鏡見た方がいいぞ?」
ジェムさん、敢えて言わなかった事を言っちゃいましたね。
確かに、容姿としては良く言えたものではありませんが、一応女性なのでやんわり断るということを覚えましょう。
「はあ!?毎日見てるわよ!!どいつもこいつも、私の魅力が分からないなんて可愛そうね!!」
あらあら、大層ご立腹ですよ?
攻撃の威力が上がりましたね。
さあ、ジェムさんはどうするのでしょう。
「うるせぇ!!いい加減黙れ!!お前は芋だ!!芋が喋るんじゃねぇ!!」
「~~~っ!!?何ですってぇ!?」
芋女さんは顔を真っ赤にして、怒りで震えています。
──火に油を注ぎましたね。
あの方はプライドがお高い方なのでしょう。容姿を馬鹿にされてさぞ屈辱な事でしょうね。
「お前は私が殺す!!」
物凄い勢いでジェムさんに襲いかかりました。
森に剣が当たる音が響き渡ります。
「……ばぁちゃんごめん。言いつけ破るよ」
ジェムさんが急に動きが良くなりました。
……ヤンさんの指導がちゃんと身に付いているようですね。
「何よ!!なんで急にこんな攻撃──」
カキーーン!!
──勝負ありましたね。
ジェムさんは芋女さんの剣を叩き落とし、剣を向けています。
「……さあ、終わりだ」
「はんっ!!何よ!!私に勝ったからっていい気にならないで!!」
ジェムさんは、「はぁ~」と大きなため息を付き剣をしまいました。
おや?留めは刺さないんですか?
ジェムさんはこちらに気づき、芋女さんに背を向けました。
すると、ニヤッと嫌な笑みをしたかと思えば、懐から銃が出てきました。
「ジェムさん!!!」
パンッ!!
「──っく!!!」
銃弾はジェムさんの脇腹に当たり、血が滴り落ちています。
「あーはっはっはっはっ!!!こんな戦いの場で相手に背なんて向けるからよ!!」
ごもっともです。
あの場合、直ぐに捕縛するれば合格でした。
とは言え、ジェムさんはもう無理ですね。
……仕方ありません。もうひと勝負行きますか。
「よいしょ」っと立ち上がろうとした瞬間、肩を掴まれました。
横を見ると、そこにはゴリさん。
「あれ?終わったんですか?」
「ああ、楽勝だったな」
見ると、カマキリ男の横にゴロンと横たわる方がいました。
ちょっとゴリさんやり過ぎじゃないですか?
あの方、顔の原型とどめておりませんが?
そして、ヤンさんはと言うと──
「ちょっと何すんのよ!?触んないでよ!!」
「…………」
「『黙れ、ブス』と、仰っておりますが?」
「あんた!!それ、絶対嘘でしょ!!適当な事言ってんじゃないわよ!!あんたの方がブスよ!!」
ヤンさんに銃を奪われ、手を拘束されても尚煩いですね。
正直、ブスにブスと言われても痛くも痒くもありません。
「それより、私はジェムさんを病院に運びます。後は宜しくお願いします」
「ああ、頼んだ」
「ちょっと逃げんじゃないわよ!!どっちがブスか勝ぶふっ──」
あまりにも煩いので、ヤンさんが口を塞いでるのが見えました。
私はジェムさんを担いで、病院へと急ぎます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます