第13話復帰
半月程の休暇を頂き、本日から職場復帰です。
父様、母様には二度と借金をしないように何度も何度も言い聞かせ、一筆書かせました。
次、借金をしたら、私は親子の縁を切ると。
家に滞在中、父様と母様の暮らしぶりを見ていましたが、朝は日の出と共に狩りに行き、昼前に一度戻り昼食を摂ります。
その後、狩って来た獣を捌き町へと売りに行き、帰ってくる。という事を繰り返していたんですが、おかしな点が一つ。
──代金が少ない……
そう、あの脳筋夫婦は本来の価格より安く売っている事が度々ありました。
両親曰く──
「何事も助け合いだぞ、マリアンネ!!」
「そうよ、マリー。お金が全てじゃないの」
いや、お金が全てですが?
こちらも生活がかかってるんですよ?
「大丈夫だ、人間一日二日食わなくても生きていける!!」
「そうよ。お金のことばかり考えていてはダメな人間になっちゃうわよ。ママ悲しいわぁ~」
──これが私の親だと思うと情けない……
次の日から私も町に行ったのは言うまでもありません。
町へと行くと、色んな方が父様、母様に挨拶をし、パンが余ったからと言って頂いたり、野菜の形が悪くて売り物にならないからと頂いたり、父様と母様は町の方達に大変愛されているようでした。
──そこは、嬉しい事でしたね。
「マリー!!」
侍女の服に着替えている所へ、テレザ様が大慌てでやって参りました。
「暫くお休み頂きありがとうございました。本日よりまた、このマリアンネ精一杯精進して参ります」
深々おじぎをし、これからの決意を語ります。
「そんな硬っ苦しい挨拶なんて、いらないわよ!!それより、殿下知らない!?」
殿下?知りませんね。
そもそも、私は今城に到着したばかりです。
「さあ?知りませんが?」
「おかしいわねぇ。早くしないといけないのに」
「……何かあったんですか?」
テレザ様の焦りからして、大分急を要する事のようですが?
「──ええ。今日は殿下の婚約者様と顔合わせの日なのよ」
ついに、殿下も一人前の殿方になる時が来たのですね。
それは大変喜ばしい事です。遅ればせながら私も殿下探しお手伝い致しましょう。
「私もお手伝い致します。早く捕まえましょう」
「……マリー、相手は殿下ですからね?手荒な真似はダメよ?」
「……善処します……」
さあ、狩の時間です。
◇◇◇
──おかしいですね……
殿下の行きそうな場所は、しらみ潰しに見て回りましたが、殿下の姿が見当たりません。
早く見つけなければ、就業時間が終わってしまいます。
──あと、調べていないのは……
騎士団寮。
あそこは女子禁制です。
あの殿下の事です。侍女達が探し回ることを想定しているはずです。
……となれば、一番怪しい場所ですね。
──手間をかけさせてくれますね。
見つけたらタダじゃおきません。
仕方ありません。行くだけ行ってみましょう。
そろそろ、婚約者様も待ちくたびれて来る頃です。急ぎましょう。
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