死編

プロローグ

いつか来ると分かっているのに


いつかそうなると知っているのに


何故、私達は目を逸らしてしまうのだろう


揺るぎない事実なのに


私達はなぜ醜くも抗おうとするのだろうか


早いか遅いか、それだけの問題


結末は永久不変なのだから


私だけなんだろうか


死を恐れ続けているのは


何で、皆怖くないんだろう


何で、皆誰かが死んでも他人事のように振る舞うのだろう


次は自分の番かなんて思わないの?


死ぬ瞬間ってどうなるのかなぁ?


心臓が止まる瞬間は苦しいの?


脳が死ぬってどういうこと?


死んだ後は無が永遠に続くの?


魂とかあの世はあるの?


生まれ変わりはあるの?


ご先祖様に私もなるの?


私は……、私は……、


星に……、なるの?


分からない、分からないよ、そんなこと


だから怖いんだよ


誰にも相談できない


いつか死ぬのが怖いって


誰にも解決できないじゃないか


だってその人もあの人もどうせ100年後には生きていないんでしょ


ああ、どうしてこの恐怖に怯え続けなきゃいけないの。


生きることが死の恐怖を捉え続ける限り


この世界はあの世で地獄同然なのかもしれない

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