【短編】下駄箱の中の青春

ウレシノハラ / 狂咲林檎

第1話:初日。

俺の名前は古田 陽斗。

顔も背丈もパッとせず普通を愛する高校1年生。

入学からもう2ヶ月が過ぎ段々と新しい環境にも慣れ始め、周りではもうカップルが誕生し始めていた。


(2ヶ月でカップルって……早過ぎないか…?)


俺は普通を愛している。

しかし、彼女が欲しいと思ったことは無い。


(彼女は大学に入ってからでもいいかなぁ。)


そんなぼんやりとした考えを持っていた。

そんなある日の朝。


「……ねっむい。」


ガチャ


「ん?」


自分の下駄箱を開けると、上履き用の学校指定スリッパの上に1枚の紙が入っていた。


(こ、これは……!ラブレター?)


一体誰が、という不信感と同時に自分を好いてくれてる人がいることに若干の喜びを覚えていた。


(いざ…!!)


カサッ


『私は誰でしょう。―ヒント:あなたの事を愛している女の子。』


手紙の中には女子らしい丁寧な文字でそう書かれていた。


(……イタズラか?だとしても誰が?)


せっかく彼女ができると思ってたのに肩すかしをくらった気分だ。


そしてこの出来事が今日1日頭の中から消えることはなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る