第19話 そしてエンディングへ.....ってそんな訳無い

何故にリア充でも無い様な俺がこんな目に遭っているのやら?

いやまあ怒りに任せて突撃してしまった俺が悪いけど。

思いながら俺は.....俺の角度的に目の前に居る鈴木の親父さんを見る。


鈴木の親父さんは俺に眉を顰める。

そして森本と聖羅と鈴木に対してもそのままの視線だ。

頑固とした.....視線をしている。

その鈴木の親父が口を開く。


「.....君は誰かね。.....突然家の中に入って来るとは.....何様のつもりかね」


「突然で失礼します。俺の名前は長門藤也って言います。.....家の中にいきなり入って来てすいません。本当に大変な失礼ですね。申し訳ありません。鈴木に言われたので入りました」


「.....」


当然ながらそれは嘘だが今の状況ではそれを言わなければ仕方が無い。

じゃなければ日本刀でも振りそうな勢いなので。

俺の目の前の座布団に座っている白と黒の髭であり長い髪をしている男性。

下の名前は分からないが相当な威圧だ。

半端じゃない。


何度も繰り返すが何故俺はこんな目に遭っているのだ?

思いながら俺は胃痛を感じながら進言する。

大変申し訳無かったですが鈴木さんが悩んでいらっしゃったので、と。

すると鈴木の親父さんは首を振って語った。


「.....優子の事に関して部外者が何か口出しをして良いと思っているのか。君は何か誤解してはいないかね。私達、家族の事に関して口出しして良いものではない」


「そうですね。これは鈴木さんを見ての突貫ですので。.....そんな中で失礼ながら俺としては鈴木さんの意見も聞いてあげた方が良いと思っています」


「優子の意見を聞いてどうなる?君は何様かね?.....全く。最近の子供は礼儀を知らないな」


「今の状況では礼儀とかそんなのは通用しないでしょう。.....でもその。鈴木さんがこの有様ってのが気に入らないので。貴方は鈴木さんのお父さんなのでしょう。娘さんの意見ぐらい聞いてあげたらどうですかね」


そんな事を良く言えるな俺。

この状況なのでどうにも出来ないと思っているのだが。

思いながら俺は額に手を添えて考える。

一切、目の前の鈴木の親父さんは瞬きをしないので怖い。


そんな事を考えながら見ていると。

もう良いですよ。先輩、と言ってくる。

俺は?を浮かべて鈴木を見た。

それから震える声で言う。


「もう.....大丈夫です.....」


「.....何が大丈夫なのか分からないがそれで良.....」


そこまで言ってから横から思いっきりつねられた。

痛い!、と思っていると。

良くないよ!、と森本が言った。


俺はその言葉に、だがこれ以上どうしろと?、と思いながら森本に視線を送る。

森本は、自由が無いのは良くないよ!、とも言う。

まあ確かにそうなのだが。

どうしろと言うのだ。

ハイテンションすぎる言い方だな。


「私はその!.....本気で大反対です。.....仮にも後輩なんですから。このまま鈴木さんを見過ごせないです。自由が無いなんて!」


「私もです。見過ごせないです」


「お前ら.....いや。あのな。.....どうしろっての」


俺は顎に手を添えて盛大に溜息を吐く。

それから困惑しながら森本と聖羅を見るが。

すると鈴木の父親は、君達なので正直に言うが私もこんな真似はしたくは無いが。だが娘が幸せになる為なのだ。だから仕方が無いのだ、と言う。

うーん.....。

俺は考えながら鈴木を見る。


「鈴木。聞いても良いか。お前はどうしたいんだ」


「.....私だって学校を辞めたくないですよ。楽しいですから。.....でも私の意見でどうにかなる訳じゃないですから」


「.....」


そんな姿に俺は後頭部をガリガリ掻いた。

それから、最終手段が無い事は無いが、と言ってみる。

え?何の手段、的な感じで俺を見てくる3人。

俺は鈴木の親父を見る。

そして目を閉じてからそのまま土下座した。


「.....実は今日来たのは実は.....まだあります。.....鈴木さんを下さい」


「.....へ?.....ファぁ!!!!?!!?!!」


鈴木が驚愕しながら。

そして森本も愕然とした。

聖羅が硬直する。

鈴木の親父さんは眉を顰めすぎる感じで俺を見てくる。

スペシャル土下座に対して、皆.....有り得ない、的な感じで、である。


「娘さんは何処ぞの馬の骨の所に嫁がれるのでしょう。だったらその前に俺が彼女の婿になります」


「.....馬鹿かね君は。いきなり現れた君のそんな言葉を受け付ける訳無いだろう。もう帰ってく.....」


「.....お父さん。私は.....この人が好きです」


「.....?.....優子.....?」


鈴木の親父は、は?、と唖然とした。

父親に決意を表す様に向く。

それから俺と同じ様にそのまま頭を下げる。

そして言い出す。


「この人ならあの人と違って心から付いて行けます。お父さん」


「.....!」


「.....私は長門先輩が好きですから。お父さんが反対するなら叛逆してでも付いて行きます」


「.....!?」


全員が言葉に硬直する。

特に鈴木の親父が思考回路を停止をさせている。

何が起こっているのか、という感じで、だ。

俺はその姿を見ながら頭を下げ続けた。


そしてそのまま鈴木の親父さんを見てみる。

鈴木の親父さんは唇を噛んでややこしい顔をしていた。

それから諦めた顔をする。


「.....優子。.....お前がそんなに強く言うの初めてだな。.....分かった。お前の意見を尊重しよう。.....成長したものだな優子」


「あ、有難うございます。お父さん.....!」


「.....あんなに泣き虫だったお前から強く言われては私も何も言えない。私も.....まだまだ甘いかもしれないが」


「.....」


こうして取り敢えず鈴木と付き合う事に.....なってしまった、のだが。

森本が複雑な顔をしていた。

ややこしい様な.....そんな顔を、だ。


俺はその顔を見ながら?を浮かべつつ。

そのまま鈴木の親父を見た。

どうしたもんかな、と思いながら、だ。

取り敢えず解決策が見つかるまでこんな感じでいってみるか.....。


「.....君は不思議な人だな。君の様な人は初めて見た」


「何も不思議じゃ無いです。.....ただ単に.....気に食わない事を潰しているだけなので.....はい」


「.....君の様な人も居るんだなと知ったよ。君の様な熱意ある青年もな」


「.....」


頭を掻きながら苦笑する俺。

困ったもんだな。

俺は鈴木を特に好いている訳じゃないのだが。


考えながら俺は.....顎に手を添える。

そして.....考え込んだ。

さてどうしたものか、と思いながら。


「長門くん」


「.....はい?」


「相手様にはこの事を言っておく。.....娘を頼む」


「.....あ、はい」


なんか.....やけに事が大きくなってない?

俺は顔を引き攣らせながら鈴木を見ると。

鈴木は赤くなって俺を見ていた。

ヤバい.....なんか取り返しがつかない様な気がしてきた。

どうしよう.....。

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