グレイザーク戦記

第1話 ヒュナーンでの冒険

 大小いくつもの島々からなる戦いと勝利の神信仰の神聖王国ヒュナーン。

 漁業と林業で栄えるこの国には古くから伝わる格闘技大会がある。

 数年に一度、次の国王を決めるため行われている大会だが、現国王ジュバンが不動のチャンピオンで、長らく国王は変わっていない。


 グレイザークは今年行われる格闘技大会に熱意を燃やしていた。

 飼い猫のピィとチャオとフランソワーズを連れ、西方の港から出航してヒュナーンに渡ってきた。


「フッ なつかしいかおりの風が吹いている。今回の大会優勝はもらった!」

 そんな独り言を言った彼の背後にいたチャオが『にぃにぃ』と鳴いた。

 

 ヒュナーンの首都ボレガロまでは、いくつも島を渡らないと行けれない。

 グレイザークは小舟を借りながら3つの島を渡り、次なる島にやって来た。


 古代ヒュナーンから生息している原住民と鳥人ちょうじんたちがむ島で旅の最大の難所であった。

 グレイザークはえて陸路を取り、島をズンズン進んで行くと


 ヒュオンッ


 矢が近くの樹木に突き刺さった。


「おっと危ない フッ これしきの事で ワタシはマケマセン!」


 グレイザークは片言かたことになりながら眼前の谷にかかる吊り橋を渡り始める。

 フランソワーズが『ニャオ!』と鳴くと


 シュンッ


 吹き矢がグレイザーク目がけていくつも飛んできた


「だぁいじょうぶ! ワタ〜シはこれくらい ヘイキ デ〜ス!」

 グレイザークはジャンプしながらクルクルと縦回転し、抜いた剣で吹き矢をはじく。


 ピィが『ニャワン』と鳴くと人の気配が辺りから消えて、それからすぐに吊り橋の反対から鳥人の群れが手斧ておのを持ち渡って来るのが見えた。


「鳥人さんたちの フッ 群れか。ここからは華麗な剣のショータイムでぇす!」


 グレイザークはピィとチャオとフランソワーズとつらなって横回転しながら鳥人めがけ吊り橋を進み始めた……。

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