浮遊霊

あれから何日か経ちました。

彼女は気丈に振舞っているように見えますが

毎晩僕の為に泣いてくれていました。

彼女が泣く所を見たくない。

僕は冷たい体で彼女を抱きしめました。

彼女には僕が見えていない。

僕を感じられていない。

抱きしめる度に僕は辛くなりました。

僕は何故か成仏出来ずに

浮遊霊として彼女の傍に居ました。

成仏出来ない理由は分かりませんが

彼女の近くにいられるならそれで良いやと

そう思うことにしました。

机には僕の写真がありました。

僕と彼女が2人で笑っている写真でした。

彼女は放心状態でそれを眺めていました。

僕も涙を零しました。

僕の涙は地面に着く前に消えました。

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