8歳 ロード辺境伯③
空間から戻る。
皆が応接室にフォーク、イワン、家臣団も揃っていた。
「驚かせて申し訳有りません。アミュレットに初代様の魔術がかかっておりました」
「大丈夫なのか?? 美人のエルフに話を聞いたが実際に目の前から居なくなると驚くものだな。中で何があった?」
目を丸くして驚いているフロイ卿。突然いなくなればこの反応も当たり前だ。ディーは半泣きの表情だし…
「中で精霊と契約をして来ました。ここにいるのがフェンリルのフェン、私の新しい仲間です」
「我が名は氷の精霊フェン。アラビスの友、今は坊主の守護精霊だ」
「リゼル…氷の精霊って一体何が起きたの!?わたし達と言葉を交わせる精霊は上位精霊よ…」
魔族に関することは隠しながら要点を皆に説明する。フェンは私の足元でくつろぎ始めている…自由な精霊だ。
「おとぎ話のようなことが現実に起こるとはな!トーマス、娘に良い土産話が一つ増えたぞ!」
「フロイ様がアメリー様に御説明されても、嘘だと言われそうですが…アミュレットをお持ちして正解でございましたね」
「ガハハ!大丈夫だ、トーマスも一緒に見ていたからな!精霊をこの目で見れるとは思わなかったわ。リゼルも無事に戻ってきた、次は聖獣を見せてくれ。陛下に後で自慢してくれようぞ!」
過保護モードのディー以外の皆は戻り、フロイ卿とトーマスさん、護衛の兵士の方々と屋敷外の庭に出る。
「”グリフ” 出ておいで」 グリフを庭に召喚する。甘えん坊のクリフは私の顔を見るとすぐに甘えてくる。
「これが噂の聖獣か。純白で実に美しいな。翼があるということは空を飛べるのか?」
「今は練習中ですが、少しだけ飛べるようになりました。いずれは空を自由に飛べるようになるかと思います」
「そのうち空を飛ぶ賢者が見られるようになるんだな。実に羨ましい!」
「俺のところ来るときには一緒に連れてこい。こいつにも我が領自慢の旨いもん食わしてやるからな」
フロイ卿はこれから王城へと向かう予定があるため、フェンとグリフを見て満足し屋敷を後にした。
その後にディーとフィンと私で書斎にいる
「坊主、先程のグリフィンの幼子はフィンの血統か?」
「うん、そうだよ。よくわかったね、面影があった?」
「グリフィン自体がそもそも数が多くない。親のフィンも白いグリフィンだったからな」
「そうなんだ。フィンと初代様はどんな関係だったの?」
「フィンも我と同じ、アラビスに救われた仲だ。我と同じくらいの体躯であったぞ、フィンはまだ生きているのか?」
「フィンはどうなってるのかまったくわからない。初代様が亡くなってから百年以上経ってるからね、生きているならグリフに会わせてあげたいね」
「魔物の寿命は長いと言うからな。あやつのことじゃどこかの山奥で暮らしておるだろう。やつは勝手気ままな自由な性格をしておったからな」
「フェンといると初代様のことが色々と知れるから助かるよ。わからないことだらけだから色々教えてね」
「我が知っておることならな。坊主が契約している小さき精霊どもを出してみろ」
「え?突然どうしたの? みんな、出ておいで〜」
フェンを見た4大精霊達は私の背中に一斉に隠れだす。背中から恐る恐る顔を出している状態だ。
「ふむ。坊主の魔力量に対してこいつらは小さすぎるな。精霊を育ててこなかったのか?」
「精霊を育てる?どうやって??」
「そこのエルフの娘に聞いておらぬのか? 我ほどの精霊にはなれなくても、小童共は成長はするぞ。」
「ディー。どうやって精霊たちを成長させればいいの?」
「わからないわ…わたしの場合はいつの間にかこの大きさになっていたから」
「うーむ…精霊の育て方は色々あるからな…おいおい話してやる。そこの小さき精霊どもよ、我は坊主と契約しておる。お前らを襲うことはない、いつまで隠れておるな!!」
恐る恐る背中から出てくる。精霊が精霊を怖がるってシチュエーション…
「おじいちゃんに怒られる孫みたいだね」
「誰が爺じゃ!」
「だって〜フェンの話し方っておじいちゃんっぽいわよ〜。あなたって古くからいる大精霊なんだし、リゼルの契約した精霊達から見たら、大長老みたいなもんだもん。そりゃ〜ビビるわよ」
「そっか、フェンって古くからいる大精霊なんだね。フェン爺ってこれから言わなきゃね」
「フェン爺、良い呼び名ね。これからよろしくね〜」ディーがニヤニヤしながらフェンに手をふる。
「爺はなんとなく嫌じゃ…爺はなんとなく嫌じゃ…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます