5歳 温泉計画③

クリムロード屋敷内にて


「父様、温泉を湧き出すことに成功しました!!」


「!? リゼル、何をいってるんだ?温泉は自然に湧き出るものだぞ? 湧き出させることに成功したとは一体どういうことだ?」


「4人で魔法を使って地下を掘り進めたのです、みんなに協力してもらって先程、温泉が湧き出しました。父様、浴場を作りましょう!! 領民が入れる公衆浴場を作りましょう!! 領都の衛生面も向上しますし、収益も少しながら上がります! 何より、みんなに温泉の良さをわかってもらいたいのです!!!」


「う…うむ、リゼルが温泉が好きなことは知っておったが5歳児が温泉を自ら掘り出すとは前代未聞だぞ!? これは隠しておいても良いし、王国に報告しても良いと思うがリゼルはどう思う?」


「はい、報告しましょう!王国全員に温泉の良さがわかってもらえるなら、私は大変うれしいです。報告に関してはお任せします。私は浴場を作ったり、他にやることがあります。父様、少し予算をいただけませんか?」


「うむ、予算は良いのだが王国への報告は見てないから、どう報告してよいのかわからん。リード、報告を少し手伝ってもらえるか? 現場にいた人間に協力してもらわんと、閣下に伝えれんからな。 リゼルよ、これは国の政策に組み込まれると思うぞ、温泉は自然に湧くもので人為的に湧き出させることに成功した例はない。 民衆受けするものは国や貴族の人気取りに持ってこいだ。 予算は好きに使って良い、リゼルが思い描く公衆浴場を作り出してこい!」


「本当ですか!?父上!!明日から早速、浴場建設を開始します。ありがとうございます、完成したら父様一緒に温泉に入りましょう!」



ここから一ヶ月の間でリゼルは理想を追求した。


そこには露天風呂、サウナ、水風呂、キッズスペースなど領民が楽しめるよう現代知識を盛りだくさんの画期的な公衆浴場が作り上げる。入場料も毎日入れるよう安く設定、領民に広く愛される憩いの場が完成した。


領民は、神童の若様が我々のことを思って作ってくださったと感謝し、この温泉を”リゼルの湯” と言うようになった。



一方その頃、王城の宰相室


〜 クザン・アラビスside 〜


クリムロード卿から届いた早馬での手紙。


「温泉を人為的に沸かせることが可能となるじゃと…!?隠しもせず発掘方法も書いてあるとは。リゼルはこれがどれだけ凄いことか理解しておらぬな…ふむ。内務卿と軍務卿を呼んでくれ、会議を開くと伝えるように。」


「どんな褒美を渡すべきかのぉ…」


そこには好々爺の顔をした宰相が悩ましそうな顔をして微笑んでいた。


その後の会議では温泉の効能をよく知るクザンが、内務卿に一般市民の公衆衛生の向上、娯楽の提供、収入面について説明をし、軍務卿へは長期遠征の際の清潔感、衛生面の向上、湯治作用、土・水魔法使いの地位・技能向上について説明することとなる。3人で会議は夜まで続くのであった…王城の夜は長い…

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