5歳 温泉計画①
あれから一年弱、私は5歳になった。
内政チートをしようと思った…しかし、初代宰相様がチートでした。
4歳の頃、領内を視察の結果、この王国の住民は皆が笑顔で幸せだ。
王国内は地産地消、自給率120%、災害用備蓄食料も義務化、税金も安い、監査機能もしっかりしてる。
王国の財務状況は万全、公共事業もしっかり行う、戦争もない、国王は賢王で内外に有名、宰相閣下は敏腕、優秀な官僚、貴族間の争いも小競り合い程度。初代宰相様が作った政治・官僚システムが今も使われている。
領内を豊かにしようとした計画はほぼ白紙とかした…
唯一の救いが、良い研究結果を王国に報告すると報奨金が出るシステム。なんとか良いアイデアを出して軍資金を稼がないと15年後が大変だ。
その中で報奨金に繋がりそうなのが、ビートを用いた砂糖の精製。よくファンタジー小説にある甜菜砂糖!過去に読んだことのある小説に書いてあった記憶がある。ただし、この世界に甜菜があるのか??育て方もわからない…そんなに都合良くは行かない。記憶にあるのはアクを取りながら煮詰めて固める…。父様に丸投げした方が早そうな気がしてきた、5歳が一からやれる計画じゃない。早くも挫折をした私、父様に事情を説明して計画を丸投げした。
大金獲得計画は失敗したが、私の本命の計画はある!
その名も”温泉プロジェクト”
温泉が好きな私は暇さえあれば動画サイトで温泉関連をよく見ていた。この世界の温泉は自然に湧き出た温泉、私が計画しているのは手掘りの温泉。この世界には魔法がある、土魔法の使い手、”ノーム”もいる試してみる価値はある。成功すれば大好きな温泉ライフがこの手に!
「ディー、リードさん、ロンザさん 温泉を掘りたいから手助けしてほしい」
「リゼル、温泉ってなーに?」
「エルフの里に温泉はないんだね。温泉ってとっても気持ちの良いもので、幸せになるものだよ。温泉が出るかわからないけど試してみたい!」
「リゼル卿、温泉は自然に湧き出るものではないのですか?地面から掘るとは一体??」
「リードさん、温泉は地下から湧き出てくるもので、この王国には温泉が多数湧いて出ているからクリムロード領内でも地下深く掘り出せば温泉が湧き出る可能性があるんです。僕の考えでは、僕とロンザさん、精霊の力を借りて土を掘り出して行きます。リードさんは湧き出てきそうな温泉を水魔法で引っ張り上げて欲しいんです。」
「なんか面白そうだな、やってみようぜ〜リゼル坊」
「あくまで実験だから、失敗しても気にしませんし成功したら王国内で温泉を掘ることが可能になります。温泉があれば毎日、お湯に入ることが可能になりますし、疲れも取れて衛生面でも良くなります。」
「それは素晴らしいアイデアです。是非、成功させましょう。成功したらリゼル卿の名前は一躍王国中に広まること間違いなしです!」
「早速、川辺に行ってみましょう!」
”私の物語に温泉卿への第一歩が始まる”
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